夏休みに全国大会に出場した高校生に、体験談を聞いた。
放送の全国大会である「NHK杯全国高校放送コンテスト」に参加した。実は、1年生の時にも出場したのだが、それはあくまで先輩の作った番組の余った枠に入れてもらえただけで、自分の実力ではなかった。当時、それが悔しくて悔しくてしょうがなかった。勝ち進まずに敗退しても、悲しむ気持ちすら浮かべなかった。
誰よりも、ひたすら練習
そして今年、2年になった私はアナウンス部門で出場した。昨年の夏から、たとえみんなが先に帰ろうと、一人放送室に残って、ひたすら原稿を読み続けた。暇を見つけては発声練習をした。部の誰よりも練習したと自分で胸を張って言えるほど、ただひたすら練習した。放送が好きなので、練習は苦ではなかった。そのかいあってか、県大会を通過して全国へと駒を進めることができた。部員みんなで全国に行けなかったのは悲しく、後味の悪いものだったが、自分が全国に行けるということは、単純に、うれしかった。
無力さを実感した
だが、いざ全国大会に出ると、私は自分の無力さを目の当たりにした。目が違う。声の力が違う。息が、迫力が違う。すべてが次元違いだった。結局私は準決勝に進めなかった。ぼろ負けである。
他校の選手を見るに、私の努力がまだ足りていないことは明白だった。もっと努力しなくてはいけない、これぐらいでだいじょうぶだろうと思ってはいけない、そう思った。
なにより、原稿作成のために取材を受けていただいた方に、とても申し訳なかった。自分のアナウンスの未熟さのせいで、受け取ったメッセージを多くの人に伝えることができなかったのが、悔しかった。
初心を忘れたくない
幸いにも、私にはあと一度だけチャンスがある。そのチャンスまで、あと1年。残された時間は長いとは言えないが、短いとも言えない。「思いを伝える」という初心を忘れないようにしつつ、自分をより磨き、「あの時間に意味はあった」と後から振り返ることができるような時間を送りたいと思う。(上田有悟・2年)