放送部などで活動する高校生が作品制作やアナウンスなどで日本一を目指す第66回NHK杯全国高校放送コンテスト(全国放送教育研究会連盟、NHK主催)の全国大会が7月23日から25日まで行われ、6部門の優勝者・優勝校が決まった。
コンテストはアナウンス、朗読、ラジオドキュメント、テレビドキュメント、創作テレビドラマ、創作ラジオドラマの6部門で実施された。都道府県大会には1585校1万4999人が参加し、勝ち抜いた531校が全国大会に進んだ。テレビドキュメント部門では決勝で4校が競った。
優勝 長野・松本深志高校「最後のLHR」
社会人になってから受けるLHRで気付いた思い
クラス替えを行わない同校は、クラスの結束が強い。ある卒業生のクラスが、2004年から2年に1度のペースでロングホームルームをする取り組みを紹介した。社会人になり企業などで地位を得た卒業生たち。「目標がなくなった気がした」と感じていたが、高校時代の机に座り、旧友と先生の話を聞くことで高校時代の気持ちを思い出していく。
代表生徒は「(LHRをした)先生は今年で八十歳を過ぎるが、(自分たちの)名前を憶えてくれている。取材だけじゃない関係性が築けてすごくうれしい」と語った。
準優勝 静岡・浜松北高校「(略)」
問題集の解説書の是非を問う
同校で使う数学の問題集には略解のみ配布され、具体的な解き方がわからない。複雑な証明問題は「(略)」と記されている。解説書もあるのだが、「解答をえるまでにどれだか努力したかが大切」だとシラバスで購入が禁止されている。リサーチの結果、約半数の生徒が解説書を読んでいた。解説書をめぐる教員の思い、生徒の思いを報じた。
代表生徒は、「解説書を持っている人にインタビューしたが、顔を出したくないとのことで、首から下を映した(編集部注※音声も加工してあった)。逆光でかっこよく撮影するため、放送室の窓に毛布をはった。照明設備もないのでスマホでライトをつけて、後ろにおいて間接照明にした。アイデアさえ出せれば番組はいくらでも作れる」と語った。
優秀 三重・高田高校「『宿題』を通して見えたもの」
なぜ宿題をするのだろうか。生徒は「部活が忙しく宿題をやる暇がない」、教員は「問題演習の量を確保してほしい」と考えているが、生徒の半数は宿題の答えを写していた。宿題代行サービスや企業などに取材したうえで、生徒と教員でディスカッションを実施し、宿題の意味を真摯に考えた作品だ。
優秀 三重・青山高校「変わりたい。」
スピーチコンテストに出場する同校の男子生徒に密着。「辞退したい」「しゃべってみたい」という気持ちに揺れ、葛藤し、自分を変える様子を伝えた。
テレビドキュメント部門以外の結果は次の通り(「優秀」以上を掲載)
【アナウンス部門】
▽優勝 広瀬陽菜さん(千葉・検見川高校3年)
▽準優勝 吉井琴春さん(宮崎・宮崎第一高校3年)
▽優秀 山口文野さん(長崎・長崎南高校3年)、山口雄大君(長崎・大村高校2年)
【朗読部門】
▽優勝 才川陽妃さん(佐賀・佐賀清和高校3年)
▽準優勝 寳藏寺花映さん(長崎・長崎日本大学高校2年)
▽優秀 小林桃子さん(栃木・宇都宮女子高校3年)、重面佳純さん(宮崎・宮崎北高校3年)
【ラジオドキュメント部門】
▽優勝 兵庫・東播磨高校「ダイナミックルーキー」
▽準優勝 北海道・帯広三条高校「鈍色の朝」
▽優秀 北海道・札幌南高校「先生!水飲みたいです」、広島・呉三津田高校「八月六日の日記帳」
【創作テレビドラマ部門】
▽優勝 三重・松阪高校「魅かれ惹かれて」
▽準優勝 千葉・市原中央高校「女尊男卑。」
▽優秀 愛媛・新居浜西高校「イカスミパスタ」
【創作ラジオドラマ部門】
▽優勝 愛媛・新居浜西高校「溺れ…る。」
▽準優勝 千葉・柏南高校「だいじょうぶのおまじない」
▽優秀 和歌山・桐蔭高校「ミッドナイト・ハイウェイ」
※以下で放映予定
『ティーンズビデオ2019』
創作ドラマ部門…8月13日(火)9時半~10時15分(NHK Eテレ)
ドキュメント部門…8月14日(水)9時半~10時15分(NHK Eテレ)
『ティーンズラジオ2019』
8月26日(月)10時~11時(NHK-FM)