理学に興味があるけれど、実際にどんなことを学ぶのかイメージが湧かない…。そんな高校生に向けて、千葉大学理学部で教える村田武士教授に、理学部についての疑問に答えてもらった。(安永美穂)

Q.理学部で学ぶことは、高校で学ぶ物理・化学・生物・地学とはどのような部分が関連し、どのような部分が異なるのでしょうか?

A.高校で学んだことを基礎として、大学では細分化されたテーマを深く掘り下げる。

大学では深く具体的に学ぶ

高校の物理・化学・生物・地学で学ぶ内容は、大学での研究活動の基礎となるものです。例えば、「DNAとは何か」ということを知らないと、DNAに関する研究結果を正しく理解することはできません。特に、物理と化学は、生物や地球科学の領域を学ぶにあたっても基礎知識として必要になることが多いといえます。自然現象を解き明かすためには、理科のさまざまな科目の知識を融合させながら探究を深めていくことになります。高校時代は特定の科目のみに偏らず、全ての科目の基礎知識を幅広く身につけておくことが重要です。

大学の研究で高校と大きく異なるのは、自分が専攻する分野において「広く浅く」ではなく、細かく分かれたテーマを「より深く具体的に」学んでいくという点です。1年次には、どのようなテーマを研究する場合でも必要となる基礎科目を学ぶことになります。ですが、2年次以降は自分がより詳しく知りたいことに関する科目を選択して履修することが増えます。4年次には研究室に所属して、最先端の研究や複数の分野を融合した研究などに取り組むようになる……というイメージをしておくとよいでしょう。

村田武士教授(千葉大学大学院理学研究院化学研究部門教授)

 

むらた・たけし 浜松日体高校(静岡)出身。東京理科大学基礎工学部卒。東京理科大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。専門は生体構造化学。創薬につながるタンパク質の構造や機能の解明に取り組む。