打ち上げられる小型ロケット「MOMO」3号機 (2019年5月4日、インターステラテクノロジ ズ提供)

失敗を糧に日本初の快挙

目指せ宇宙―。ベンチャー企業が単独で開発した小型ロケットが、日本で初めて宇宙空間への打ち上げに成功した。多くの研究機関が宇宙を利用した実験を目的に安価な超小型の衛星の開発を加速させているが、宇宙に運ぶための小型ロケットは世界的に不足する中、これまで国主導だった日本の宇宙開発に風穴をあけた形だ。

北海道の宇宙ベンチャー

北海道大樹町の宇宙ベンチャー「インターステラテクノロジズ」は、小型ロケット「MOMO(モモ)」3号機を町内にある実験場から打ち上げた。約4分後に高度約113キロに到達、約8分後に大樹町沖の海上に落下した。3号機は全長約10メートル、直径約50センチ、重さ約1トンで、同社は機体の回収を試みたが断念した。

 

新型機も開発中

2017年の1号機は発射約70秒後に通信が途絶、昨年6月の2号機は直後に落下して炎上しており、今回は過去2回の打ち上げに失敗した経験を基に改良を重ねた。4号機からは研究や広告向けに商用化する予定だ。MOMOと並行して2段式ロケット「ZERO」も開発し超小型衛星を軌道に投入する計画で、23年に1号機の打ち上げを目指す。

部品は量販店、通販で

同社は宇宙好きの有志が集まった「なつのロケット団」が前身。実業家の堀江貴文氏が加わり、13年に実験場を確保できる大樹町に会社を設立した。社員は20~30代が中心で、昨年から初めて女性の技術者も加わった。製造過程は可能な限り簡略化、部品の多くは東京・秋葉原の量販店やインターネット通販で購入した既製品という。