大学の学費や学生生活にかかる費用の負担を軽減させる奨学金。制度がどんどん変わっているため、正しい最新の情報を得ることが大切だ。ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに、知っておきたい奨学金に関する基礎知識や最新情報を教えてもらった。(中田宗孝)

Q.大学などが奨学金制度を設けていると聞きます。具体的に教えてください。

A.昨今、大学が給付型奨学金を拡充する傾向にある。願書提出前に申し込みが必要なことも。

奨学金制度を実施するのは日本学生支援機構だけはありません。東京大学、早稲田大学、立命館大学といった大学や、JT(日本たばこ産業株式会社)やコカ・コーラなど、みなさんがよく知る一般企業でも実は奨学金を給付しています。

日本学生支援機構の奨学金との併用も可能な、大学や企業の奨学金もあります。例えば、慶應義塾大学の「学問のすゝめ奨学金」は、「首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)以外」の出身者を対象に、年額60~90万円(学部により異なる)を支給します。返済義務のない給付型の奨学金で、550人以上を採用します。応募条件の一つに、保護者の収入・所得金額が税込み1000万円未満となっており、日本学生支援機構の条件と比べると間口が広いのも特徴です(2019年度募集時の情報による)。

他にも、明治大学の「明治大学給費奨学金」の採用人数は、約1440人以内と多いです(2018年度募集時の情報)。大学や企業の奨学金給付額や応募条件、対象人数などは、まちまち。それぞれの大学や企業の公式サイトを確認してください。

願書提出前に申し込みが必要なこともある

日本学生支援機構以外の奨学金を受けようと考えた際に注意したいのが、申し込みの時期。大学や企業が実施する奨学金の申し込みは、「高校3年生の10月まで」など秋に募集締め切りとなるケースが多いのです。特に大学の奨学金は、何となく志望大学合格後に申し込むと思いがちですが、大きな間違いです。10月までというと、受験のための入学願書の出願前。つまり志望大学に合格する前に申し込むことが必要なのです。

大学からの奨学金を希望するなら、合否に限らず、申し込みだけは済ませておきましょう。もし志望大学の奨学金を受けることが決まったのに、受験に不合格だった場合は、奨学金を受け取ることができません。その場合、キャンセル料は発生しないので安心してください。

■企業の奨学金の例

日本コカ・コーラ株式会社の奨学金「公益財団法人コカ・コーラ教育・環境財団」
http://www.cocacola-zaidan.jp/

株式会社ニトリの奨学金「公益財団法人似鳥国際奨学財団」
https://www.nitori-shougakuzaidan.com/

株式会社イトーヨーカ堂の奨学金「公益財団法人伊藤謝恩育英財団」
http://www.ito-foundation.or.jp/

JT(日本たばこ産業株式会社)の奨学金「一般財団法人ジェイティ財団」
https://www.jt-scholarship.or.jp/

 

竹下さくらさん(フィナンシャルプランナー)

たけした・さくら 慶應義塾大学商学部保険学専攻。卒業後、保険会社勤務を経て、フィナンシャルプランナーに。コンサルティング、講演活動を行う。著書「『奨学金』を借りる前にゼッタイ読んでおく本」(青春出版社)など