奨学金は「自分には関係がないと思ってる」「難しそうだから、調べるのは後回ししてる」という声が編集部に寄せられた。利用する人が最も多い日本学生支援機構の奨学金について、ファイナンシャルプランナーの久慈拓也さんに種類や申し込み時期を、わかりやすく解説してもらった。(野口涼)

あわせてチェック!

【奨学金の基本1】大学生の半数以上が利用 どんな種類があるの?

【奨学金の基本3】成績が悪いと利用できないの? 借りられる額は?

【奨学金の基本4】何年かけて返せばいいの? 収入が低い時の配慮は?

【奨学金の基本5】給付型奨学金の対象者が拡大 誰が利用できるの?

「もらう」と「借りる」の二種類がある

―「日本学生支援機構」の奨学金にはどんな種類がありますか?

もらえるお金の「給付型」と、借りるお金の「貸与型」があります。貸与型には返すときに利子の付かない「第一種奨学金」、利子の付く「第二種奨学金」、同じく利子が付き、第一種奨学金、第二種奨学金の1回目の振込に上乗せされる「入学時特別増額貸与奨学金」の3種類があります。

―「利子」とは何ですか?

お金を返す際に、上乗せして返す金額のことです。利子の付かない第一種奨学金は借りた額をそのまま返せばよいのに対し、利子の付く第二種奨学金は借りた額よりも多い金額を返さないといけません。 

―第一種奨学金、第二種奨学金の違いを教えてください。

第一種奨学金は、世帯の収入が多いと借りられません。一方、第二種奨学金は第一種奨学金よりも収入基準がゆるく、借りられる金額も多いです。

―給付型奨学金についても簡単に教えてください。

給付型奨学金は、返済する必要のない「もらえる」奨学金です。学生にとってはありがたい存在ですが、その分、利用できるかどうかの判断基準が「借りる」奨学金より厳しくなります。

高3のうちに申し込むのが◎

―どうやって申し込めばいいですか?

大学進学前に高校を通して申し込む「予約採用」と、進学してから大学を通して申し込む「在学採用」があります。どちらで申し込んでもかまいませんが、今の時点で奨学金を利用しようと決めている高校生には予約採用をおすすめします。

―それはなぜでしょうか?

初回の振り込みは、大学入学後に出す「進学届」の提出時期によって決まるからです。予約採用では最短で大学1年次の4月に振り込まれますが、入学してから申し込む在学採用では4~5月分の奨学金がまとめて「6月」に振り込まれるケースが多いです。そのため、その間の生活費を別に準備しておく必要があるのです。

―予約採用の申込期間はいつですか?

3年制の高校で在学中に申し込む場合は、高3の4月~7月末の間です。期間は高校ごとに設定されます。「申し込もうと思ったら締め切りが過ぎていた」ということのないよう、高3になったら早めに学校に確認しましょう。

申し込みから振り込みまでのスケジュール例

―在学採用の申込期間は?

在学採用の受付は春と秋に定期的に行われ、何年次からでも申し込めます。

―大学生になってから家の経済状況が急に悪くなったときに、助けてくれる制度はありますか?

在学中に家族の日常生活を成り立たせるお金を稼いでいる「生計維持者」、つまり原則として父親や母親が病気になったり亡くなったりして、家計が急変した場合にいつでも申し込める「家計急変採用」「緊急採用」「応急採用」もあります。

 

 

久慈拓也さん

くじ・たくや ファイナンシャル・プランナー。全国各地で奨学金に関する相談会や講演を行う「まなびシード」所属

編集部にあなたの声を聞かせてください

この記事はLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」をフォローしてくれている読者にの声をもとにつくりました。あなたもぜひフォローして、高校生活にまつわる悩みや疑問をお寄せください。