難しいイメージがある奨学金制度。高校生から編集部に「奨学金について何も分からない」という声が寄せられた。使う人が多い日本学生支援機構の「もらえるタイプ」の給付型奨学金について、対象者や今年から始まった新制度を、ファイナンシャルプランナーの久慈拓也さんに簡単にわかりやすく解説してもらった。(野口涼)

返さなくていい奨学金

―日本学生支援機構の給付型奨学金は誰が利用できますか?

住民税非課税世帯や、それに準ずる世帯であることが条件でしたが、今年から支援の対象が拡大しました。世帯構成や収入に応じて支援額は変わります。

―給付型奨学金に採用される基準を教えてください。

高3生のうちに申し込む「予約採用」の場合、成績基準は高校に提出するレポートや面談で「学習意欲がある」と判断されればOKです。ただ、採用されても大学進学後の授業出席率や成績によっては停止されることもありますので注意してください。

大学の種類によって金額が変わる

―給付型奨学金は月にいくらもらえますか?

月額7300円から7万5800円の範囲です。

―金額の範囲が広いのはなぜですか?

世帯収入がいくらか、進学する大学が私立か国公立か、通学は自宅からするか自宅外からするかによって変わるからです。一部を除き、給付型奨学金の対象者は大学の授業料が全額免除されたり、安くなったりするのもポイントです。

―世帯収入とはなんですか?

「同じ生計をともにする人の年収の合計」です。例えば共働きの両親とアルバイトをしている大学生の子どもの3人家族だったら、父の年収、母の年収、子どもの年収すべてを合わせた額が世帯年収になります。給付型奨学金は、奨学金を受ける本人の年収も判定に影響します。

24年度から支援拡大 

―今年から新設された制度について教えてください。

年収約600万円~750万円の家庭のうち、「多子世帯に属している」または「私立理工農系に進学する」のどちらかに該当する人は、新たに支援が受けられます。

―どんな支援が受けられますか?

扶養する子どもの数が3人以上いる「多子世帯」の場合は給付型奨学金がもらえ、授業料も安くなります。「私立理工農系への進学」に該当した場合は奨学金の給付はなく、授業料のみ安くなります。

2024年度から支援の対象が広がった

給付×貸与の組み合わせがおすすめ

―給付型奨学金と貸与型奨学金を両方申し込むことはできますか?

できます。貸与型奨学金は、大学入学後の最終手続きで辞退したり金額を変更したりできるため、むしろ「どの大学に行くのか」「いくら必要か」がわからない予約採用の段階では、組み合わせて申し込んでおくことをおすすめします。

―組み合わせて申し込む際の注意点を教えてください。

借りた金額をそのまま返す利子がない第一種奨学金、借りた金額に上乗せして返す利子がつく第二種奨学金の両方を合わせて申し込んでおくことをおすすめします。

なぜなら給付型奨学金に採用されると、第一種奨学金の利用が制限される場合があるからです。その場合でも第二種を申し込んでおければ、お金が足りなくなることを防げます。

多めの金額で申し込むと◎ 

―金額をいくらで申請すればいいのか判断できない人はどうすればよいでしょうか?

給付型奨学金、第一種奨学金、第二種奨学金それぞれ多めの金額で申し込んでおきましょう。どの奨学金をいくら利用するかは、大学入学後の最終手続きの段階まで変更できます。採用後にじっくり考えてください。

―「日本学生支援機構」以外の奨学金は、どうやって調べればいいのでしょうか?

「地方公共団体」「民間団体」「大学」などが奨学金制度を設けています。早稲田大学や慶應義塾大学など、地方出身者に奨学金を給付する制度を設けている大学も少なくありません。入学前に申請する必要がある場合が多いので、まずは志望校のWEBサイトでどんな奨学金があるかを確認してみましょう。

 

 

久慈拓也さん

くじ・たくや ファイナンシャル・プランナー。全国各地で奨学金に関する相談会や講演を行う「まなびシード」所属

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