進学に必要なお金をもらったり借りたりできる「奨学金制度」。編集部に高校生から「奨学金について何も分からない」という声が寄せられた。「借りる」タイプの貸与型奨学金はいつから返し始めるのか、奨学金に詳しいファイナンシャルプランナーの久慈拓也さんに簡単にわかりやすく解説してもらった。(野口涼)
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「借り終えてから7カ月後」に返還スタート
―日本学生支援機構の貸与型奨学金はいつから返すのですか?
貸与が終わった月の翌月から数えて7カ月目からです。原則毎月27日に、自分が指定した銀行口座から引き落とされます。大学を3月に卒業した場合は10月27日になります。
―大学1年次のみ奨学金を借り、2年次から辞退した場合、在学中に返還が始まるのでしょうか?
在学中に奨学金の奨学金がいらなくなって、在学中に借りるのをやめた場合も「在学猶予願」を出せば、返し始めるのは卒業後からになります。
10~20年かけて返す
―月々いくら返すのでしょう?
借りた総額により返す額は変わります。貸与総額や月々の返還額を試算できる「奨学金貸与・返還シミュレーション(https://simulation.sas.jasso.go.jp/simulation/)」を使って試してみてください。
―何年くらいかけて返すのが一般的ですか?
短ければ約10年、長ければ20年かけて返していきます。繰り上げ返還によって10年より短くすることも可能です。
―毎回同じ金額を返すのでしょうか?
利子のつかない第一種奨学金は、毎月同じ金額を返す「定額返還方式」と、年収に応じて毎月の返す額が変わる「所得連動返還方式」から選べます。利子のつく第二種奨学金は「定額返還方式」のみです。
―滞納したらどんな影響が出ますか?
滞納2カ月目から未返済金の3%が延滞金として発生し、3カ月目から個人信用機関に登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。住宅や車のローンが組みづらくなったり、スマートフォンの購入が分割でできなくなったりする可能性があります。
―失職などの理由で返せなくなったときはどうすればいいでしょうか?
返還を待ってもらえる「返還期限猶予制度」や、通常より少ない金額を長い期間をかけて返していく「減額返還制度」を利用する方法があります。
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久慈拓也さん
くじ・たくや ファイナンシャル・プランナー。全国各地で奨学金に関する相談会や講演を行う「まなびシード」所属