開成高校(東京)の有志が難民問題に取り組むために設立した団体「K-Diffusionors」が1月にウガンダに渡航した。4月、東京都内で高校生に向けた講演会を行った。メンバーの村川智哉君、平沼昌太郎君、中原正隆君、松田祐和君、森田真介君(全員3年)に、講演会後にウガンダの経験をインタビューした。 (中澤彩恵・2年)
暴力、殺人…過酷な経験
――ウガンダに渡航中に印象的だったことは?
松田 「難民居住地は暗くて、撮影の際は子どもたちの冷たい視線を感じる……」という予想が裏切られたことです。難民の子どもたちは、日本でいう学童のような場所で遊んでおり、表情もとても明るかったんですよ! しかし、話を聞いてみると両親を目の前で殺されたり、家族から暴力・ネグレクトを受けたりしているなど、予想以上につらい返答ばかりでとてもショックを受けました。
――ほかに想像と違ったことは?
村川 意外とのんびりしていたということですね。僕は時間に追われる生活をしていますが、ウガンダの人たちをみて「自分にとっての幸せって何か」を考えました。
平沼 ウガンダは人とのつながりを大切にしているようでした。
松田 現地の人々の優しさを渡航中に何度も感じました。最初は正直怖くて、「パスポート盗まれないかな……」などと考えていましたが、歩行者に車から手を振ると、振り返してくれて。その瞬間に、「あぁ、自分はウガンダの人との間に勝手に壁を作っていたんだな」と思い、恥ずかしくなりました。
高校生でもできる
――活動を通じて大変だったことは?
村川 ウガンダへの渡航のため、たくさんの資金集めや安全面の確保など、多くのハードルがありました。
森田 チームマネジメントも大変でした。仲間割れは渡航の前後でも相当ありましたね(笑)
――モチベーションはどう維持してきたの?
中原 「高校生だからできない」と言われたくなくて、「俺らでもできるんだぞっ」という気合でやっていました。割と負けず嫌いな心を持って活動してきました。
――私も負けず嫌いなのでとても気持ちわかります!では、活動するにあたって大切にしてきたことは?
村川 団体の理念で掲げていることなのですが、「未来を担うひとりひとりを当事者に」「じぶんごと」ということを大切にしていました。
平沼 そして、団体で活動をしているので、個人の思いよりも団体として何を達成したいのかという目標意識をもつようにしています。
――仲間を大切にされているんですね。特に仲間の大切さを痛感させられた出来事は?
森田 村川の行動力とやることの速さ、平沼の人脈を広げていく力とチームマネジメント、松田の一つのことに責任を持って集中する力、中原の分析力と自分たちのやるべきことを見失わない力などなど、多くの時間を共有してきて見えてきました。ひとりでも欠けていたら今のようにはなれなかったというのはとても感じます。
――実際に行かなければ分からないことですね! ではでは、最後に同じ高校生にメッセージを。
中原 外の世界をもっと見てほしいです。部活とか恋愛とか自分の身の回りだけでなく世界を見てほしいです。僕たちは難民問題について深く活動してきましたが、世の中の問題はこれだけではないので色んな問題に目を向けてほしいですね。「世界のことだから自分にはできない……」とあきらめず行動に移せたら良いと思います。
――次期代表になった山田麟太郎君。今後の展望を教えてください。
山田 僕たちが取り組んでいきたいのは地方展開です。活動を全国に広めていきたい。まず、地方は東京と比べて情報が少ないし、このような活動をしている団体が少ないので、たとえ興味がある人がいても知る機会がないんです。つまり。僕たちがdiffuseする相手は、東京はもちろんですが地方だなと思いました。だから、僕たちは地方にいって同じ志を持つ仲間たちが、能動的なアクションを起こせるようにしていきたいと思っています。
具体的な話をすると、地方支部の設立をします。札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡に作ります。既に福岡は作ることができました。そして、各都市で今回開いた講演会と同規模の講演会を開きたいと思っています。1回きりの活動ではなく、地方においても持続的に活動していきたいです。支部を設立して持続的に、そしてそこを中心としてまた広めていくことを目指しています。
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【取材後記】
K-Diffusionorsの皆さんにインタビューをして同じ高校生とは思えない意識の高さと行動力に感動しました。中原くんの言葉にもあったように「自分にはできない…」と諦めずに行動を起こすことの大切さに気付かされました。