大学の学費や学生生活にかかる費用の負担を軽減させる奨学金。制度がどんどん変わっているため、正しい最新の情報を得ることが大切だ。ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに、知っておきたい奨学金に関する基礎知識や最新情報を教えてもらった。(中田宗孝)

Q.卒業後、返済に困らないために知っておくべきことは?

A.自分名義の借金だという意識を持ち、返済計画を立てよう。

奨学金を借りるのは高校生のみなさん本人です。奨学金は保護者が借りて保護者が返済するものではありません。奨学金を受ける本人の名義で借りて、本人が返済の義務を負います。強い表現をすれば、「奨学金の支給を終えた大学卒業後から借金を抱えることになる」のです。

貸与型の第一種奨学金は、国公立大学進学・自宅通学で月額2~4万5000円、私立大学進学・自宅外通学で月額2~6万4000円が支給されます。

貸与型の第二種奨学金では、大学の国私や自宅・自宅外に関係なく、月額2~12万円までを1万円単位の金額から選択できます。特に第二種は、原則として月額最大12万円もの金額を受けることができるので、将来の奨学金の返済計画までをきちんと視野に入れて、奨学金を借りる額を適切に選択しなければなりません。借り過ぎないよう注意してください。

返済計画をシミュレーションしよう

実際に、奨学金の返済が始まるのは、奨学金の貸与期間終了の翌月から数えて7カ月目から返還が始まります。大学4年生の3月まで奨学金をもらった人なら、卒業後の10月から返金が始まります。その後、15~20年間かけて返済していくことになります。

 日本学生支援機構のサイトには、進学のための資金計画を立てる「進学資金シミュレーター」、奨学金の支給総額や毎月返還する金額、返還が完了となる時期などを試算できる「奨学金貸与・返還シミュレーション」があります。これらの便利サイトを活用して、大学進学に必要な金額や、奨学金の返済額を試算しておきましょう。

日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」
https://simulation.sas.jasso.go.jp/simulation/

日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」
https://shogakukin-simulator.jasso.go.jp/

 

竹下さくらさん(フィナンシャルプランナー)

たけした・さくら 慶應義塾大学商学部保険学専攻。卒業後、保険会社勤務を経て、フィナンシャルプランナーに。コンサルティング、講演活動を行う。著書「『奨学金』を借りる前にゼッタイ読んでおく本」(青春出版社)など