川越女子高校(埼玉)音楽部は、外国語のアカペラ曲などに挑んでいる。3月開催の「第8回関東ヴォーカルアンサンブルコンテスト」(全日本合唱連盟関東支部ほか主催)では、4度目の出場で初の1位(金賞)に輝いた。

練習に励む部員たち。先輩愛が強く、憧れ の先輩の「追っかけ」をする部員もいる

訳して表現力に磨き

鈴が鳴り響く合唱で1位を撮った

同大会はハンガリー語の合唱組曲をアカペラで歌った。曲の後半には、2人の部員が鳴らすスレイベル(鈴)の音色が、歌声と美しく調和するのも強く印象に残る。「単にハンガリー語を羅列しただけの歌になりかねません。そこで、歌詞を日本語訳して、歌詞の情景を思い浮かべて歌うことで曲の表現力に磨きをかけました」(麻生華鈴さん・3年)。

同部は近年、「関東ヴォーカルアンサンブルコンテスト」に向けて、異なる2曲を歌う2チーム編成(Aチーム14人、Bチーム14人)でエントリーする。予選にあたる1月の県大会では両チームとも金賞を受賞。喜びもつかの間、県の出場枠の関係で麻生さん率いるBチームのみが本大会出場となった。

本大会は各校20人まで出演可能。顧問の栗原晶代先生は、県大会よりも厚みのある合唱を目指すため、本大会出場がかなわなかったAチームの一部の部員をBチームに加える決断をした。本大会で歌えない部員が生まれる。

合唱を通じて心を一つにした部員たち。仲良しだ

部員全員でつかんだ金

団結して合唱を作り上げた部員たち

Aチームをまとめた鈴木南結さん(3年)は、「すぐには受け入れがたい提案でした」と、当時の苦しい心境を明かす。Aチーム内で話し合いを重ね、「川女の音楽部として高みを目指す思いは誰もが同じ」(鈴木さん)。そしてオーディションを経て、Aチームの6人がBチームに加わった。

鈴木さんは「1位は部員全員でつかんだ」と誇る。帰りのバス中で感動の余韻が爆発したという。「受賞の瞬間以上にはじけたかも。『私たちすごくない!?』って。バスを降りた時には、みんなの髪が乱れすぎてて笑いました」(麻生さん)(文・写真 中田宗孝)

【部活データ】
部員39人(3年生17人、2年生10人、1年生12人)。週6日活動。校内外で年間約10公演を行う。関東ヴォーカルアンサンブルコンテストでは、今年の結果を含め3年連続で金賞を獲得。

Q部内ではやっていることは?

憧れの先輩部員の「追っかけ」です。自分の「推し」部員の写真を撮りまくってます(笑)。先輩愛がとても強い部なんです。(麻生華鈴さん・3年)

Q部員同士で合唱の話題以外にどんなことを話しますか?

中学時代の恋バナはやっぱり盛りあがります。部内の「推し」部員のことを熱く語るのも、ある意味、恋バナです!(麻生華鈴さん・3年)

Q顧問の栗原晶代先生への思いを一言教えてください。

どんな時もポジティブ思考で、私たちを明るく引っ張ってくれる存在。みんな、先生に褒められたくて合唱を頑張っているところもあります。「大好きな人(栗原先生)に褒められないとすごく悲しいよね……」なんて語る部員も(笑)。先生は部員全員の“推し”です!(鈴木南結さん、3年)