投票率は52%、民意示す

沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の中心部にある米軍普天間飛行場の名護市辺野古(へのこ)への移設をめぐる県民投票が行われ、辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」が72.2%となった。「賛成」は19.1%だった。投票率は52.48%、住民投票の有効性を測る一つの目安とされる50%を超えた。

 

県側は移設断念を迫る

辺野古移設問題にテーマを絞り、県民が直接民意を示すのは初めて。反対票(43万4273票)は、投票しなかった人を含む投票資格者の4分の1に達し、昨年の知事選で玉城氏が獲得した39万6632票も超えた。投票条例は最多得票が投票資格者の4分の1に達したときは知事に結果を尊重する義務を課し、首相や米大統領に通知すると定めている。

新たな基地の建設となる移設に反対する玉城デニー氏が当選した昨年9月の知事選に続いて、反対の民意が再び明確になった形で、県側は改めて移設を断念するよう迫る。

 

政府は方針変えず

ただ、県民投票結果に法的拘束力はない。安倍晋三首相は移設を推進する方針を堅持する見通しだが、民意を無視した印象を与えれば政権運営に悪影響を及ぼしかねない。一方、移設反対の世論が改めて鮮明になったことで県側に妥協の余地はない。対立はいっそう深まりそうだ。

辺野古を抱える名護市では反対票が73%を占め、全県を上回った。普天間飛行場がある宜野湾市も反対が66.8%だった。

玉城知事は「辺野古移設反対の民意が埋め立てに絞って明確に示されたのは初めてで、極めて重要な意義がある」と強調し、工事中止を求めた。

米軍専用施設の7割が集中

政府は普天間の危険性除去などのために辺野古移設が唯一の解決策との立場だ。だが、県民投票の結果を無視して工事を続ければ県民らの反発が強まるのは必至、4月の衆院沖縄3区補欠選挙、7月に予定される参院選に影響する可能性がある。