温暖化で地球の将来が危ぶまれているのに、なぜ政府や大人たちは無策なのか―。北欧の少女がたった一人で始めた「温暖化スト」が世界の若者に急速に広がっている。

温暖化対策を大人や政府に求めるスウェーデンのグレタ・トゥンベリさん( 中央、Daniel Bockwoldt=Getty Images)

授業休み議会前で座り込み

2020年に始まるパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前からに比べて2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指す。しかし、国連や研究機関の分析は、現在の各国の取り組みでは達成は不可能、影響は深刻化するとの結論で一致している。

スウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさんは15歳だった昨年8月、学校の授業を週1回ボイコットして首都ストックホルムの議会前で座り込みを始めた。環境問題での作文コンテストで受賞したことがきっかけだったという。昨年12月にポーランドで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議では、「あなたたちは子どもを愛していると言いながら、子どもたちの未来を奪っている」と、各国の代表を鋭く批判した。

SNSで思い広がる

日本の中学3年生に当たる一人の少女が大人たちに早急な温暖化対策を求め活動は、SNSを通じて欧州諸国を中心に拡大、各国で学生らが抗議デモを行うなど世界的なムーブメントになった。

今年1月には、ドイツ、ベルギー、スイスなどで若者たちが授業をボイコットし計数万人規模のデモが行われた。ベルギーでは2月、首都ブリュッセルなど各地で教室を飛び出した高校生ら1万人以上がデモに参加、「気候変動で正義を」「今すぐ行動を」と訴えた。

日本など100カ国に拡大

大人や政府に対する若者の怒りは国境を越えて広がりつつある。3月15日には約100カ国で、トゥンベリさんに共鳴する若者たちが一斉に抗議行動を展開。日本でも東京や京都で「気候を変えず私たちが変わろう」などと訴えた。大人たちは次世代を担う若者たちの叫びにどう応えるのだろうか。