宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が2月に地球から3億4千万キロ離れた小惑星「りゅうぐう」への着陸に成功した。試料採取のため岩を砕く金属弾を発射した後、再び上昇したことが確認され、小惑星探査における最先端の技術力を示した。

太陽系の起源を探る

はやぶさ2は、縦1.25メートル、横1メートル、奥行き1.6メートル。図は小惑星りゅうぐうに着陸するはやぶさ2のイメージ図(JAXA提供)

はやぶさ2は、2005年に世界で初めて小惑星から岩石を採取し、地球に届けることに成功した「はやぶさ」の後継機。小惑星への着陸は、初号機に続く世界で2例目の快挙。遠隔操作で、許容誤差約3メートルという狭い場所にピンポイント着陸を成功させる高い制御能力を示した。

はやぶさ2の探査目標は、りゅうぐうの石をカプセルに入れて持ち帰って、石に含まれる水や有機物を調べ、地球の海や生命の由来を探ることだ。地球と異なり、高温にさらされていない小惑星の石には昔の性質が残っているとみられ、太陽系の起源に迫ることができると期待されている。将来の宇宙開発で必要となる小惑星での資源採掘につながる可能性もある。

岩石試料の採取に挑戦

はやぶさ2は上空20キロの待機場所から45メートルの高さまで降下、速度や角度を自律的に調整しながら、あらかじめ落としてあったボールを目印に着陸した。着陸後は金属弾発射装置が自動的に作動し、岩のかけらなどを回収したとみられる。金属弾発射は初号機で失敗したミッションだった。

 

5月に再着陸を計画

はやぶさ2を運用する管制室(2018年6月撮影、JAXA/ISAS提供)

はやぶさ2は14年12月に鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げられ、3年半で太陽の周りをほぼ3周、18年6月にりゅうぐうに到着した。当初、同10月に予定されていた1回目の着陸を延期し、岩の形状などを調べて詳細な地図を作り、着陸場所を選んでいた。

4月にはりゅうぐう表面に銅の塊をぶつけて人工クレーターを作り、5月以降に2回目の着陸をしてクレーター内部などの試料採取する計画だ。試料は20年に地球に持ち帰ることを目指す。

はやぶさ2が着陸後に上昇しながら撮影したりゅうぐうの地表。はやぶさ2 の影が映ってい(JAXA、東京大など提供)
2月22日の小惑星りゅうぐうの位置

【memo】りゅうぐう 地球と火星の公転軌道近くを回る小惑星。1999年に米チームが発見した。半径約450メートル、質量は約4億5千万トンで、原始太陽系の名残をとどめていると考えられている。