チャオ! 私は、イタリアにあるインターナショナルスクール「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)」に2年間留学中です。日本とは異なった生活についてお届けします。今回は受験について葛藤したことをお伝えします。(高校生記者・ 一丸暖歌=3年)

ノルウェー人の友達とクライミングへ(左が一丸さん)

3学期もあっという間に過ぎてしまい、大学受験が近づいてきました。学校にいる間は、行事や課題などで忙しく受験について考えることはなかなか難しいため、大学について調べ始めたのは夏休みでした。私は現在、海外大学へ進学を希望しています。

成績で自分の価値が決まるのは、おかしい

いざ受験の準備を始めてみると、私の通う学校がどれほど「外の世界」と違うのかを実感します。生徒たちの多くは、多様性や国際理解にひかれてUWCに入学しています。そのため、世界中の生徒と過ごす機会を最大限に生かそうとしています。学業以外の議論やイベントに熱意を持って取り組む人が多いと感じます。思いに個人差はあるものの、「成績で自分の価値が決まるのはおかしい」という風潮が強いです。周りが大学進学に関してのんびり構えているので、私も自分の志望するアメリカ大学のランキングなど気にせず「自分に合った場所に行く」という心持ちでいました。

大学受験で貴重な高校生活を犠牲にしたくない

とはいっても、大学や学部の評判は就職に大きく関わります。アメリカやイギリス、オランダなどの海外大学の出願にはエッセーの提出が必要で、添削などの高いお金を払うサービスを使う人が大勢います。何より、学校の成績やTOEFLなど統一試験のスコアは合否を左右します。出願準備から学費を含め高いお金を費やし、違う国の友達と過ごすせっかくの時間を削って勉強に専念して、大学に行く意味は何なのか……。でも、この社会は学歴重視です。「自分が社会である程度の影響力を持つこと」を目標にすれば、社会的に評価されている大学へ進学することが必要に思えてきます。

理想と現実の違いに悩むことは今回に限ったことではありません。18歳にしては途方もないことを考えている気がして脱力感を味わいます。でも、一つ言えるのはここに来ていなければ、間違いなく考えることのなかった葛藤を体験しているということ。答えのない問いに挑むのが、留学の醍醐味(だいごみ)の一つです。