サッカーがしたいのに、満足にボールがない。南太平洋のフィジーに留学し、子どもたちの姿を目の当たりにした岡田千畝さん(沖縄・沖縄カトリック高校3年)は、フィジーにサッカーボールと空気入れを届けようと奮闘している。
「フィジーの子どもにサッカーボールを」クラファンに挑戦
―活動内容を教えてください。
発展途上国であるフィジーの子どもたちに、サッカーボールと空気入れを届けるため、クラウドファンディングを行いました。3月9日から4月20日まで行い、目標額の50万円を突破し64万3500円が集まりました。
集まったお金で、最低でも150個のサッカーボール、30個の空気入れをフィジーに届けられます。
―なぜサッカーに注目したのですか?
小学2年生の頃から現在まで、10年間サッカーをしているからです。中学進学時には学校にサッカー部がなかったため、サッカー部を作りました。今は高校のサッカー部でプレーしています。
高校1年生のときにはサッカーの技術向上のため、文部科学省の留学支援プログラム「トビタテ!留学JAPAN」の8期生として、スペインに留学しました。

「発展途上国の人々を助けたい」思いが胸に芽生え
―スペイン留学を経て、なぜフィジーへの留学を決めたのでしょうか。
「さらに海外に知見を広げたい」と考えるようになり、「トビタテ!留学JAPAN」で発展途上国に留学していた方と話す中で、発展途上国に興味がわきました。「発展途上国の人々を助けたい」という思いが芽生えましたが、そのためには、実際の様子を目で見て感じる必要があります。
そこで、英語圏であり感染症のリスクも比較的低めのフィジーに留学しようと決めました。フィジーは発展途上国にも関わらず「幸福度」が高かったことも、決め手の一つでした。
サッカーが好きなのにボールがない
―フィジー留学ではどんな気づきがありましたか?
フィジーでは、よく街の子どもたちとサッカーをしました。フィジーの子どもたちはサッカーが大好きで、街を歩いているだけで「一緒に遊ばないか」と声をかけられるんです。
そんな日々を過ごすうちに、フィジーの子どもたちはサッカーが好きでも、サッカーボールを持っている子どもが少ないと気づきました。持っていたとしても空気が抜けていたり、使い古されボロボロになったりしたボールばかりだったんです。

「なんてすばらしいものなんだ!」空気入れにも注目
―そこで子どもたちにサッカーボールを届けたいと考えたんですね。
はい。加えて、ホストファミリーとの会話も活動のきっかけになりました。
ホストブラザーが使っていたサッカーボールが柔らかかったので、私が日本から持ってきた空気入れを使ったんです。すると、ホストファザーが目を丸くしながら「なんてすばらしいものなんだ! フィジーにはこんな便利なものはない」と言ったのです。

フィジーでは携帯用空気入れがほとんど普及しておらず、自転車用の大きな空気入れが主流で、とても不便な思いをしているそうです。
サッカーボールも空気入れも満足にない状況を目の当たりにし、「高校生の私でもどうにかできないか」と考え、クラウドファンディングを行ってフィジーにサッカーボールと空気入れを届けようと決意したんです。
7月に渡航を計画「小学校に届けたい」
―今後の展望を聞かせてください。
7月にはフィジーに渡航して、サッカーボールと空気入れを現地の小学校に届けます。空気入れは日本で購入しますが、フィジーの経済を活性化させたいという観点から、サッカーボールはフィジーで購入して届ける予定です。
今後も発展途上国の人々を助けたり、社会問題解決に努めたりしたいと考えています。大学受験が終わったら、起業や支援団体の設立も視野に入れています。