高校生のためのメンタルトレーニング講座1 プレッシャーをプラスに
試合の大事な場面で緊張し、いつも通りのプレーができない経験はないだろうか。スポーツは心・技・体のバランスが重要だが、結果が出ないのは日頃から心の準備ができていないのかも。スポーツ心理学が専門の高妻容一教授に簡単に始められるメンタルトレーニングを聞いた。
日頃から心の準備を
試合でも練習でもやることは同じ。一流選手は「ようし、良いプレーができればヒーローになれる!」と、プレッシャーをプラスに捉える。逆に、日頃からメンタルトレーニングができていない選手は、ネガティブな気持ちになり、本番で練習の成果を発揮できない。メンタルトレーニングをしていれば、いつでも「ゾーンに入れる」ようになる。ゾーンとはその選手が最高の能力を発揮する状態で、体が自然に動き、疲れをあまり感じない。相手の動きを読めたり、時間の流れがゆっくりと感じたりする。
少しの心掛けで変わる
メンタルトレーニングはすぐ効果が出るものではなく、日々の積み重ねが重要だ。まずは笑顔であいさつし、相手と褒め合うことから始めよう。「無理」「駄目だ…」というマイナスの口癖をやめ、「よし!」「いける!」などプラスの言葉を使うようにするのも効果的だ。「ネガティブな考えを出し切る」イメージを持ってトイレで用を足すのも良い方法だ。トイレに行く回数分、訓練になる。
また、ネガティブな考えのチームメートを見つけたら「プラス思考ビーム!」と叫びながら腕で十字を作って光線を浴びせるポーズをし、ビームを受けた相手は「プラース!」と言い、身体全体で手を広げプラスの一文字を作る。ある中学校の運動部が始めた取り組みで、楽しく気持ちを切り替えられる。実際に導入したチームが成績を上げている。(小野哲史)
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いまからできる心を鍛える方法
・笑顔であいさつをする
・相手のよいところを言い合う
・ネガティブな口癖をやめて、ポジティブな口癖に変える
・トイレに行くときは「ネガティブなものを出し切る」イメージで
・相手がネガティブになっていたら「プラス思考ビーム」を浴びせよう
・大声で本気でじゃんけんをする。勝ったら思い切り喜び、負けたら思い切り悔しがる
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高妻容一 教授
(東海大学体育学部競技スポーツ学科)こうづま・よういち メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会代表。「基礎から学ぶ!メンタルトレーニング」など著書多数。