人材論や組織論の世界的権威であり、『ライフ・シフト』著者のリンダ・グラットンさんの講演会が12月7日、聖心女子大学(東京)で開かれた。若い世代に向けて、チャレンジ精神や旅をすることの重要性を語った。(朴玄珍・3年、岩井ことみ・2年)

「勇気を持ち、自分が変化の中心になろう」と女子学生に語り掛けるグラットンさん

『ライフ・シフト』著者・リンダ・グラットンさんの講演を高校生記者が取材

世界の仕組みを理解しよう

ロンドン・ビジネススクール教授のグラットンさんは、誰もが100年を生きうるこれからの時代は、従来通りの生き方は通用しないという「人生100年時代」の提唱者だ。

日本の若者の安定志向に対して「リスクをとることを恐れる。起業家になる人がとても少ない」と懸念。卒業後に進学や就職せず、自由に過ごす「ギャップイヤー」を勧めた。「時間をとって世界を旅しましょう。今やるべきことは、世界の仕組みを理解すること。科学技術の進化で、世界は常に変化しています。人生がどのような形で展開するかを知ることが大切です」

一緒に成長したい仲間を見つけて

年功序列や長時間労働が良いとされていた親世代は、今の変化に追いつけず、子どもと意見が合わないこともある。「親と同じやり方ではうまくいかない。皆さんは移行期にいる一方で、親世代がしてくれたことを認めたいとも思っています。世界の変化を親世代に理解してもらい、信頼してもらう。そして、自分と一緒に成長したい仲間を見つけて」と話した。

記者が高校生へのアドバイスを聞くと「何でもいいからチャレンジして経験を積むことが大事」と答えた。特に、女性に向けて「社会で自分の意見をしっかり持てるように」と話した。

取材後記

日常をどう過ごすか

「人生100年時代」をどのように生きていくかは、何気ない日常を自分がどう過ごしていくかで変わってくるのだと分かった。世界を旅したり本を読んだりして、新たな発見をし、自分のアイデンティティーを築き上げていきたい。(岩井)

チャレンジしていきたい

100年人生。この言葉は誰もが一度は聞いたことがあると思う。しかし、実際に高校生の中で100歳まで生きることについて、真剣に考えたことがある人はどれくらい、いるのだろうか。私自身は一度も考えたことがない。しかし、グラットンさんの講演会を通して、100年人生の時代を備える必要性について、実感することができた。私もこれからさまざまなことにチャレンジしていきたい。(朴)

高校生記者の朴さん(左)と岩井さん
 
「LIFE SHIFT ライフ・シフト」
リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著 池村千秋訳
東洋経済新報社、税別1800円
人生100年時代を生き抜くために必要なライフステージの捉え方、お金や時間、人間関係の考え方についてのヒントが満載。マンガ版も発売中。