渋谷教育学園渋谷高校の4人

渋谷教育学園渋谷高校(東京)の2年生4人は、無償か低額で子どもに食事を提供する「子ども食堂」に注目し、広めるにはどうしたらよいか模索している。(文・写真 野口涼)

家庭科で「子どもの人権」について学んだことをきっかけに「子どもの貧困」に問題意識を持った。「世界には、貧困によって過酷な状態に置かれている子どもたちがいることは知っていました。でも、日本で10人に1人の子どもが貧困に陥っていることを初めて知り、衝撃を受けました」(大川怜夏さん)

貧困は「一見分からない」

子どもの貧困についてもっと知る方法はないか、自分たちにできることは何かと考え、新宿区の「ニコニコ子ども食堂」のボランティアに応募した。

ボランティアでは2日間にわたり、トランプなどの遊びを通じて子どもたちと触れ合った。印象的だったのは、国産の食材にこだわり、栄養バランスを考えたおいしい食事。そして、食卓を囲む子どもたちの楽しそうな笑顔だ。「その半面、子ども食堂は大人や一般的な家庭の子どもたちにも開かれているため、どの子が貧困に苦しんでいるのか、私たちにはまったく分かりませんでした」(岩井華那さん)

ニコニコ子ども食堂の代表者によると、現状では子ども食堂を訪れる子どもたちの9割は一般的な家庭の子どもたち。一見しただけでは分からない「見えない貧困」に苦しんでいる残り1割の子どもたちの多くは、親密な関係になって初めて家庭の事情などを話してくれる。助けを必要としている子どもたちを見つけ出すことがどれだけ大変かを実感すると同時に、子ども食堂がそのアンテナの役割を担っていることを知ることができた。

訪れるのをためらう子も

課題の一つは「支援を必要としている子どもたちが、訪れるのをためらってしまうケースがある」ことだ。そういった子どもたちに、子ども食堂が安心して訪れることができる場所であることを伝える活動ができないか、これからも継続して考えていこうとしている。