東九州龍谷を破り、金蘭会が悲願の優勝 

女子は、金蘭会(大阪)が2連覇を達成した。ユース代表やジュニア代表がそろう最強軍団だが、インターハイ、国体は準優勝で涙をのんだ。体づくりや組織づくりを見直し、再び結束力を高めて臨んだ春高の決勝をフルセットの激闘の末に制した。

インターハイ準優勝の悔しさを晴らしたエース西川有喜

宮部愛芽世(2年)のスパイクが決まり15-9。決勝でフルセットの末に東九州龍谷(大分)を振り切ると、コートの中央で選手たちが歓喜の輪をつくる。抱き合い、膝から崩れ落ちる選手に交じり、主将の中川つかさ(3年)は顔を覆って号泣した。「個の力はあるのに、チームとしてまとまらない。今年1年負け続けて、本当に苦しかったです」

インターハイ、国体はともに準優勝。決勝進出を果たしているのだからそれだけでも十分なのだが、負けたのがいずれも下北沢成徳(東京)。しかも、練習で積み重ねた成果を出せないままの完敗に、悔しさばかりが残った。

当初は「苦しくて嫌だった」 ライバル打倒を胸に走り込みを続けた

試合後、コートで喜びを爆発させる金蘭会高校の選手たち

春高で勝つために何をすべきか。まず取り組んだのがトレーニングだ。ウエートトレーニングにも積極的に取り組む下北沢成徳に勝利すべく、朝と放課後の練習後に必ず走る。タイムや距離を設定し、毎日走り続けた。当初は「苦しくて嫌だった」と多くの選手が口をそろえたが、厳しい練習を全員で続けてきた自信は、決勝でも成果となって表れた。

「成徳と当たるまでは負けない」と誓ったが、ライバルは準決勝で敗退。決勝は、その成徳を破った東九州龍谷との対戦となった。粘り強く応戦する相手との激しいラリーの攻防を、エースとして自らのスパイクで制した西川有喜(3年)が言った。

「相手を意識して走ることに意味があるし、毎日続けることに意味があると思ってみんなでやってきた成果が、苦しい時でも踏ん張れる自信になりました」

年代ごとの日本代表にも名を連ねるエリート軍団がインターハイ、国体で敗れた悔しさを乗り越え、つかんだ栄誉。池条義則監督も「苦しい試合や状況を全員でカバーし合い、総合力で頑張った」とたたえた。その陰には、地道に走り込みを続けた忍耐力と、みんなで乗り越えて得た結束力があった。(文・田中夕子、写真・幡原裕治)

金蘭会高校女子バレーボール部のメンバー
【TEAM DATA】
 2007年創部。部員26人(3年生10人、2年生4人、1年生12人)。15年に春高初優勝を飾り、以後5大会連続でベスト4以上。昨年の主将、林琴奈(JT)ら多くの卒業生がVリーグでプレーしている。