5試合で1セットも与えず 文字通りの完全優勝
第71回全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)の男女決勝が1月13日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京)で行われ、男子は洛南(京都)が全5試合で1セットも落とさない「完全優勝」を決めた。準優勝に終わった前回大会の悔しさを晴らした。
1年時からレギュラーとして活躍した選手を中心に、自主性を重んじ「楽しんで勝つ」を最後まで実践した。準決勝後、主将の山本龍(3年)が「自分たちのやるべきことをすれば勝てる」と自信をのぞかせた通り、決勝では清風(大阪)を相手にストレート勝ち。自らのブロックポイントで試合を決めた山本は「最高です」と喜びを爆発させた。
弱点はサーブレシーブ 積み重ねてきた練習が実を結ぶ
昨年も決勝進出を果たし、主力選手も残っている。「洛南が強い」と今季は常に優勝候補とされてきたが、全国高校総体(インターハイ)は決勝で市尼崎(兵庫)に敗れた。エースの大塚達宣(3年)が「勝たなきゃいけない、と空回りしていた」と言うように、気負いから本来の長所を発揮できなかったことに加え、明確な敗因もあった。サーブレシーブだ。
セッターでもある山本が「サーブレシーブさえ返ればどこからでも攻撃できる」と言うように、両エースの大塚、垂水優芽(3年)、ミドルの中島明良(3年)、溝井健太(2年)がそろった攻撃陣は強力だ。しかし、インターハイでは市尼崎の強烈なサーブに守備を崩され、攻撃が単調になった。
弱点を克服すべく、リベロの内藤大(2年)とともにレシーブの中心となったのが宮野陽悠河(3年)だ。
「勝つためには、まずサーブレシーブ。自分の仕事はとにかく守備だ、と思ってインターハイから時間を割いて練習しました」と振り返ったように、春高ではどんなサーブに対しても崩されない堅実な守備から、武器であるコンビバレーを展開。積み重ねた練習が存分に発揮された結果が、相手に1セットも与えず全てストレート勝ちという完全優勝だった。
エースとして苦しい場面で得点をもぎ取り、チームを勝利に導いた大塚は、優勝の瞬間、涙を流した。「去年は最後の1点が取り切れなくて負けた。その1点を取るために高い意識でやってきて勝つことができて、本当にうれしいです」
優勝候補から最強の王者へ。洛南が勝つべくして頂点に立った。(文・田中夕子、写真・幡原裕治)
- 【TEAM DATA】
- 1962年創部。部員24人(3年生8人、2年生6人、1年生10人)。日本代表でも活躍する福沢達哉(パナソニック)らVリーグに多くの卒業生を輩出。学校は東寺の境内にあり、文武両道を掲げる。