文部科学省は12月14日、医学部医学科を置く全大学を対象に入試の実施状況を調査した結果を公表した。問題の発端となった東京医科大学を含む9大学で「不適切な事案」が、1大学で「不適切である可能性の高い事案」があったという。

この問題が発覚したのは、文部科学省の幹部が東京医科大学の元理事長に、文科省の事業で有利な扱いを受けたいと依頼され、その見返りに自分の次男を東京医科大の入試で不正に加点してもらった事件が発端。これをきっかけに東京医科大の入試で女性や浪人生に不利になる得点操作が行われていたことが分かり、文科省が医学科のある81校を調査した。

文科省は「不適切な入試」を、「合理的な理由なく、特定の受験者を合格または不合格とすること」や「合理的な理由なく、性別、年齢、現役・浪人の別、出身地域、居住地域という属性を理由に一律に取扱いの差を設けること」などと定義。調査の結果、東京医科大のほか、岩手医科大学、昭和大学、日本大学、順天堂大学、北里大学、金沢医科大学、福岡大学、神戸大学の計9校で不適切な入試が行われていることがわかったという。一般入試で女性が不利になる合否基準が適用されていたり(順天堂大)、推薦入試の書類審査で募集要項に明記せずに地域に配慮した配点をしていたり(神戸大)した事例があった。このほか、聖マリアンナ医科大学でも、女性より男性のほうが顕著に高い点数になっていることから文科省は不適切である可能性が高いとみているが、大学側は出願書類などを総合評価した結果であると反論している。

東京医科大などでは、不適切な入試の結果、不合格となった受験生を追加合格とし、その分、年明けに行われる2019年度入試の定員を減らす措置を公表している。今年度の受験生にも一連の問題が出そうだ。

さらに、文科省は医学部医学科以外も含めて、公正な大学入試のための共通ルールのための検討を進める考えという。