東海地方の名門高校として知られる旭丘高校(愛知)は学校祭(鯱光祭)、体育祭や文化祭、舞台発表や討論会、分科会などさまざまな企画を連続で6日間行うのが、特徴だ。しかも生徒の力で運営をしている。今年学校祭を成功させた、委員長の佐藤颯君(2年)と副実行委員長の島村純君(2年)に、どうやって運営してきたのかをインタビューした。(木和田志乃)
実行委員はつらいよ 生徒と生徒の間に入り交渉
――実行委員のリーダーになろうと思った理由は?
佐藤:自分たちの手で鯱光祭を作ってみたいと思って、去年、副実行委員長をしました。運営側が楽しかったので今年は実行委員長になりました。
島村:僕は去年は生徒会役員をしていて、実行委員会の外側から学校祭を見ていた側ですけど、去年の実行委員長が終わった後にとても満足そうな顔をしていたのと255人いる学校祭実行委員の頑張りをいろいろな人たちに見てもらいたいというのが理由です。
――どんな仕事をしたの?
佐藤:実行委員長は主に全体の仕事の把握、日程の作成、活動の広報、部門間の連絡を行います。
島村:実行委員255人が10部門に分かれて活動していますが、ぼくがパイプ役になって部門長10人と連携して準備を進めていきました。人間関係ではないですが「まあまあまあまあ…」と言いたくなるようなことはよくありました。
例えば同じ機材を各部門が交代で使っていくので、ある企画での機材のセッティングを次の企画用に変えるタイミングだとかの調整は大変でした。ある部門から「時間が足りないからタイミングを30分遅らせてくれ」と要望があれば、あとの作業を30分短縮するために関係各部門と交渉する……そういうことをしていました。
もっと活動したい生徒VS下校時間
――生徒だけで6日間の学校祭を運営していく上で大変なことは?
島村:学校祭の仕事は、前年度の長(おさ)から今年度の長(おさ)へ、先輩から後輩へ直接1対1で引き継がれるものです。それこそ、何十年も前からずっと引き継がれています。
佐藤:引き継がれてきたものをもとに形を変えたり戻したりして運営しているので……(それほど大変ではない)。ただ僕らは生徒なので、校舎を開ける時だとか先生の監督が必要な時には監督をお願いしています。
それから本校は定時制があるので下校時間が決まっていて、迷惑をかけないように校舎を出ないといけない。でも準備をしている生徒は帰るように言ってもなかなか聞いてくれず、本当に嫌な顔をされることがよくあります。そこで先生という立場から帰宅を指示してもらったことはあります。
台風が接近 中止するか延期にするか…
――会社の中間管理職みたいですね…。
島村:いやな仕事、嫌われ役は学実長に押し付けた。
佐藤:まあ、好きでやってることだからいいけど。あとはどうしようもなくなった時は先生に助けてもらいます。今年は台風の接近と重なった。どういうタイミングで中止、延期の判断をするか、自分たちだけでは決められず、先生たちとかなり話し合いました。結局、最終日は午前中で終了し、残りは後日に延期しましたが、台風はどうしようもない、どうしようもできなかったですね。先生方にお願いしたのはそれぐらいでした。
学校祭が終わってからが「本番」
――実行委員長、副委員長を務めてよかったことは?
佐藤:ごく個人的なことですが、人と話すのがうまくなりました。苦手だったんで。
島村:僕は割と好き勝手やって、第70回記念のタオルの製作販売を発案したり、文化祭のプログラムを、プログラム編集部門長と僕とでプログラミングしてスマホ用のアプリにもしたりしました。8月初めには前夜祭のリハーサルも始まっていたんですが、僕はこま回しの世界大会で中国にいて出られなくて、その穴埋めを他の部門長にお願いしました。人に支えられていることが分かったのがよかったです。
佐藤:学校祭は終わりましたが、来年度に引き継ぐまでが任期だと思っています。どちらかと言えばこれからが本番です。旭丘にいるすべての生徒や教職員がさらに楽しいと思える学校祭を作っていきたいです。