早稲田大学理工学術院の梅津光生教授の研究室による、人工心臓を作るワークショップが11月10日、東京都内で行われた。中高生が医工学を学び、実際に自分でも簡易型の人工心臓を作る体験ができる学びの場だった。私も実際に参加してきた。

初めに、心臓の働きについて坂口勝久准教授のレクチャーがあった。私たちが生まれた時からずっと働いている心臓には、血液を体中に巡らすポンプの働きがある。頭の先から足の先まで、体を巡っている血液は、全て心臓のポンプの力によって押し出されている。

心臓は、右心室、左心室、右心房、左心房に大きく分けられる。心臓の中で全身に血液を送り出す役割をしているのが左心室だ。左心室は、拡張と収縮の差115mmHg(ミリメートル水銀柱)の力で全身に血液を送る。イメージしやすい数字にすると、1分間に水4.5リットルを1.6メートル上へ持ち上げる力があるという。

装置作って実験

学生に助けてもらいながら生徒が作ったポンプで水をくみ上げる(TEPIA先端技術館)

ワークショップでは、実際に自分で簡易的な人工心臓の装置を作ってみて、ポンプの力がどのぐらい必要なのかを体験した。本物の心臓なら、水を20秒間で1.5リットル上げることとなるが、装置では参加者の誰も達成することはできなかった。私も作ってみたが0.8リットルしか上げることができず、心臓の力のすごさを肌で感じた。心臓はとても大切な働きをしているとあらためて思った。

参加した高校生に感想を聞くと「人工心臓という言葉は知っていたが、仕組みや内容は知らなかった。今回、実際に作ってみて、より深く知ることができて面白かった」と話してくれた。当たり前のように働いてくれている心臓の偉大さを感じ、自分の心臓への感謝の気持ちが湧いてきたイベントだった。(中澤彩恵・1年)

中澤さん(右から3人目)と早稲田大学梅津研究室の坂口先生(右から4人目)、学生たち