「王座奪還」を目標に人工芝グラウンドで練習に励む

「赤き血のイレブン」という異名を取り、全国高校サッカー選手権で3度の優勝を果たした古豪・浦和南高校。近年は私立勢に押されていたものの、昨年の県大会では準優勝するなど、復活の気配が漂う。今年3月には全面人工芝のグラウンドが完成。充実した施設で研さんに励んでいる。

(文・写真 茂野聡士)

昨年は県大会準優勝

 同校は、昨年度の全国高校選手権県大会で準優勝を果たした。かつて同校の選手時代に全国制覇を成し遂げた野崎正治監督の下で一丸となって戦うチームは今季、大きくモデルチェンジした。チームのキャプテンを務める倉本圭亮君(3年)が「昨年の先輩たちは身長の高い選手が多かったのですが、今年は違います。その分、パスを回して『地上戦』を多くしていこうと考えています」と語る。そのための大きな味方となるのは新設されたピッチだ。

人工芝グラウンドで練習

 同校には今年3月、埼玉県内の公立校で初となる全面人工芝のグラウンドが完成した。これまでは土のグラウンドで日々のトレーニングに励んでいた選手たちにとって、非常に大きな変化だった。昨年からAチームでプレーする山口恵波君(3年)は「土のグラウンドに比べて、一本一本のキックを強く蹴らないと、パスが通らない場合があります。公式戦は芝のグラウンドでプレーするので、普段から強いパスを出そうとしています」と、試合とほぼ同じ環境で練習できるメリットを語る。また練習では、スライディングタックルなどの思い切ったプレーも多く見られた。

1年生チームが練習するコートも人工芝が敷かれている

全国目指し一丸

 芝のグラウンドになった利点は、もう一つある。雨などの悪コンディションでも、普段と同じトレーニングに励めることだ。髙橋亜聡君(3年)は「これまでは、雨が降ると土がぬかるむので校庭で練習できず、ボールを使用したトレーニングがほとんどできませんでした。だけど、芝になったことで、天候に左右されずに練習に臨めています」と語る。

 グラウンド整備などの時間が短縮されたことで、Aチーム、Bチーム、新人チームの各カテゴリーの練習時間も、より一層確保できるようになった。サッカーの練習に集中できる環境を手に入れたことで、昨年果たせなかった「全国出場」という目標へ、さらに歩みを進めようとしている。

 

部活データ

 1963年創部。部員130人(3年生46人、2年生34人、1年生50人)。練習時間は午後4時から7時半まで。主なOBは日本サッカー協会会長の田嶋幸三氏、元日本代表MFの水沼貴史氏(サッカー解説者)。

Aチームの部員たち