優勝を決めて喜ぶ市船橋の選手たち

全国高校総体(インターハイ)サッカーの男子決勝が8月2日にエディオンスタジアムで行われ、市船橋(千葉)が流通経大柏(千葉)を1-0で下し、3年ぶり9度目の優勝を飾った。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

「昨年の決勝の悔しさ晴らす」誓って臨んだ

市船橋は昨年、決勝進出を果たしたものの、前年度優勝の東福岡(福岡)にPK戦の末に敗れ、連覇を許した。主力の多くが残った今回は「あの悔しさを晴らそう」と雪辱を誓っていた。

先制したのは市船橋だった。前半のアディショナルタイム、こぼれ球をうまく拾ったFW野本幸太(3年)が左サイド深くまで持ち込み、ゴール前に折り返すと、FW村上弘有(3年)が落ち着いて左足で流し込んだ。「あまりよく覚えていません。野本が良いボールを上げてくれたので合わせるだけでした」と村上。得点を喜ぶよりも「シュートコースを切られて決め切れませんでした」と、後半の苦しい時間帯で決定機を逃したプレーを反省したが、結局はそれが貴重な決勝ゴールとなった。

決勝ゴールを決めたFW村上弘有(右)

貴重なゴール「死ぬ気で守った」

「1-0のリードが逆に我々の戦い方を難しくしました。相手も力がある中で、とくに後半は自分たちがなかなかイニシアチブを取れませんでした」。朝岡隆蔵監督がそう振り返ったように、後半は流通経大柏に押し込まれる時間が徐々に増えていく。終盤は相手の怒涛の攻撃の前にほぼ防戦一方だった。それでもアディショナルタイムにはDF原輝綺(3年)が「ここで入れられたら去年と同じ。死ぬ気で守りました」と相手の際どいシュートを、体を投げ打って阻止するなど、守備陣が最後まで集中力を切らさなかった。

主将の杉岡「千葉県のレベル示せた」

両チームがインターハイ決勝で顔を合わせるのは、雷雨で試合が中止となり両校優勝となった2008年、4対2で市立船橋が撃ち合いを制した2013年に続き、3度目だ。最近も6月にインターハイ県予選決勝で、約2週間前にはプレミアリーグEASTで対戦し、ともに1勝ずつを挙げている。互いを知り尽くしているだけに、流通経大柏は「腹の探り合いをせずにぶつからなければいけない」(朝岡監督)相手だった。

最終ラインでチームメイトを鼓舞し続けた主将のDF杉岡大暉(3年)は、「今日の出来は50点」と言いながらも、優勝という結果に安堵した表情を浮かべていた。「千葉県のレベルを示せる一戦でしたし、千葉県勢が高校サッカーを引っ張っていくという気持ちでできればいいと考えていました。実際それができたし、その分、(出場権が1つしかない)全国高校選手権の県予選は大変ですけど、そこで勝ててこそ価値があると思います」(杉岡)

同じ県内でしのぎを削る強力なライバルの存在が、市船橋をまたひと回り強くした。

全国高校総体サッカー男子で優勝した市船橋