かつまた・あつし 2000年5月22日、東京都出身。狛江二中卒。小学3年で軟式野球を始め、中学時代は狛江ボーイズに所属。右投左打。得意な球種はストレートとカットボール。長打力を秘めた強打者でもある。180センチ、80キロ。

勝又温史(東京・日大鶴ヶ丘3年)は、最速152キロを誇る本格派右腕だ。弱点を克服するための地道な練習を重ね、チームの頼れるエースへと成長。10月25日のプロ野球ドラフト会議で横浜DeNAベイスターズから4位指名を受けた。

プロ野球選手になるのは、野球を始めたころからの夢だった。「高校に進学してからは、練習でも生活でもやるべきこと、やってはいけないことを『プロに入るためには』という基準で考えるようになりました」

チームの頼れるエースに成長した

下半身の弱点見つけ克服

必ずしも順調な3年間を送ってきたわけではない。「1年生のころは先輩についていくのがやっと」。エースとして臨んだ2年生の秋は、接戦となった早稲田実(東京)戦で途中登板したものの「打ち込まれてチームを勝利に導けなかった」という。

その後、投球動作を分析すると、下半身ができておらず、ボールを放すポイントが一定ではないことが分かった。「鏡を見ながらシャドーピッチングをしました。キャッチボールの段階から、考えずに良いフォームで投げられる感覚を身に付けることも意識もしました」

ライバルに絶対負けない

成果は今春から徐々に出始めた。だが、エースナンバーの背番号1を三浦拓真(3年)に奪われる悔しさも味わった。こうした苦い経験が勝又の意識を変えた。「三浦に絶対負けないようにと、トレーニングは常に三浦より多くやった」という負けん気の強さが、さらなる成長を促した。

「誰よりも楽しみたい」

再び背番号1を手にして臨んだ今夏の西東京大会では、チームを力強くけん引。決勝の日大三戦は同点で迎えた最終回にサヨナラ弾を浴び、あと一歩で甲子園には行けなかったが、高校での野球生活をやり切ったという思いに満ちている。「全部を出し切って戦ったので悔いは一つもありません」

新たに飛び込む世界でも、自身が武器と語る「速いボールを投げ、遠くへ飛ばす」というダイナミックなプレーで輝きを放ってほしい。「レベルの高い人たちと戦っていくには当然、つらい練習が待っている。でも、いつでも誰よりも野球を楽しんでプレーできる選手になりたいです」(文・写真 小野哲史)

Q&A 

「勇気1秒、後悔一生」

――好きな食べ物、音楽や本(漫画)はある?

 食べ物は焼き肉が好きです。音楽は英語の勉強を兼ねて洋楽を聴くようにしていますが、リズムだけ聴いてしまって英語力には結びつきません(笑)。野球漫画の『キャプテン』が好きで、ああいう泥臭さや真剣な姿勢はずっと忘れないで持っていたいと思います。

好物は焼き肉

――試合前に緊張しないようにやっていることはある?

 人がいないスタンドや空を見て、練習のときのように気持ちを落ち着けます。

――好きな言葉、座右の銘はある?

「勇気1秒、後悔一生」です。小中時代のコーチからの言葉で、躊躇(ちゅうちょ)してやらないより、たとえうまくいかなくても進んで行動することを大切にしています。

――オフの日は何をしている?

 家や映画館で映画を見たり、家族と海に行ったり、チームメイトと遊びに行ったりします。