世界各国の高校生がプログラミング能力やアルゴリズム(物事を効率・最適化する計算方法)の設計などを競う第30回国際情報オリンピック日本大会(IOI 2018 JAPAN 組織委員会など主催)が9月1日から8日まで、茨城県つくば市で行われた。
日本選手全員がメダル
初の日本開催となった今大会には、87の国・地域から335人の選手が参加。選手たちは、5時間の制限時間内に3つの問題を解く競技に2回挑戦した。順位は全6問の総合点で決まり、成績上位者に金(全参加者の約12分の1)、銀(約12分の2)、銅(約12分の3)のメダルが授与された。日本代表の4人は、金が井上航君(福岡・北九州工業高等専門学校3年)、銀が細川寛晃君(兵庫・灘高校3年)、銅が清水郁実君(沖縄・N高校3年)と行方光一君(東京・筑波大学附属駒場高校2年)だった。
中1からプログラミングを始めた清水君は、「自分の苦手なタイプの問題がでてしまった」と振り返る。「2日目の競技で挽回しようとしたがうまくいかず悔しさが残る。この経験は次のステージで生かしたい。将来、必ず大きなことを成し遂げてみせるので期待していてください」
海外選手の英語力に驚き
行方君は、大会前からインターネットを通じて親交のあったルーマニア代表選手と表彰式の壇上で固い握手を交わした。「大会に向けて問題を出し合っていました。結果は2人とも銅メダル。『(笑い交じりに)Are you bronze?』と声を掛け合い、メダルの色の悲しみを分かち合いました(笑)」。また、開会式にご出席された秋篠宮佳子さまから激励の言葉を直接いただけたこともよい思い出になったという。
大会期間中には、韓国やメキシコの代表選手とカードゲームに興じたり、米国の代表選手と将来の進路について語り合ったりと、海外選手との親睦を深めた。
細川君は、クロアチア代表選手から紅白チェック(国旗柄の一部)の帽子をプレゼントされた。「母国語が英語ではない海外の選手でも英会話をマスターしていたことに驚き、刺激を受けました。自分の英語力はまだまだなので、大学受験を終えたら英会話の勉強を始めたい」と、新たな目標を掲げた。来年の第31回大会は、アゼルバイジャン共和国で開催される。 (文・写真 中田宗孝)