第42回全国高校総合文化祭(2018信州総文祭)の軽音楽部門が8月11日、長野市芸術館(長野市)で開かれた。草津東高校(滋賀)軽音楽部のバンド「きゃもん」は、5人組のガールズバンドだ。「1年生の頃から憧れていた」というこのステージに立ち、パワフルな歌声と演奏で会場を魅了した。(文・写真 野村麻里子)

仲良し5人組の「きゃもん」

大事なものを失っていくけれど…大人になりたい

5人の唯一の共通点は、身長が高いこと。「平均身長163センチの体を生かして音楽に乗せた動きにも注目」というバンド紹介通り、リズムに乗りながら楽器をかき鳴らした。別れを想起させるような歌詞。アップテンポなのに流れるメロディーはどこか切ない。
 披露したオリジナル曲「サワー」は、上田真衣さん(ベース担当、3年)が初めて作詞作曲に挑戦したもの。気に入っているフレーズは「夏の終わり ラムネの味 愛想笑いと缶ビール」。さわやかな青春の今を「夏の終わり ラムネの味」、「愛想笑いと缶ビール」には「大人になったら自分はこんな風になってしまうんだろう」という未来を重ねた。
 上田さんは「高校生の今の自分を歌いたくて。子供でもあるけれど大人でもある間みたいな。ちょっと子供の自分も、大人になってからの自分も、弱いところがある自分も許してあげたいなと思って作りました。大事なものがなくなってくけれども、大人になりたいと願った。そんな自分自身の『大人になりたさ』を表現しました」と語る。

ボーカルの槇陽花さん

LINEのメッセージがバンド名の由来

「きゃもん」は1年生の秋に結成した。たまたま電車内で会って、声をかけたことがきっかけだ。結成を機にLINEでグループを作り「(グループを作った参加を呼び掛けて)きゃもん」とメッセージを送り、そのままグループ名になったという。
 軽音部は引退した3年生を含めると120人以上部員がいる。ドラムは3台あり、合奏できる部屋は3教室のみ。40ほどバンドがあるため、じゃんけんをしてシフトを決めている。月曜日はパート練習の日と決められていて、バンドは関係なく、ギター、ドラム、ベース、キーボード、ボーカルなどの担当者に分かれて基礎練習を行っている。  

息の合った演奏で魅了した

仲良しの秘けつはすぐ話し合うこと

5人はいつも仲良しだ。「ちょっとぐちゃっと(雰囲気が悪くなる)となる」と、メンバーをすぐ集めてしっかりと話し合いをする。槇陽花さん(3年、ボーカル担当)は「すぐに話し合いをするので、大きなケンカになることもないです」と話す。
 この演奏で引退。リーダーの上村日向さん(3年、ドラム担当)は「さみしい。今までは部活があったから(毎日必然と会えた)。これからはあれじゃないですか…みんなでちゃんと集まろうって言わな、集まれないじゃないですか。それが…さみしい」と涙ながらに言うと、ほかのメンバーも涙。1年半、軽音楽を通して築いた絆は深い。