8月7日から開催中の第 42回全国高校総合文化祭(2018信州総文祭)の写真部門で、佐藤礼偲(れいじ)君(山形・酒田光陵高校写真部部長3年)が最優秀賞と文部科学大臣賞に決まった。作品「ひだまり」は、あたたかな春の夕日のなか、草むしりをする老女に電車から車掌があいさつをする一コマをとらえた。(文・写真 野村麻里子)

佐藤君の作品「ひだまり」

秋田への撮影旅行で出会った奇跡の風景

佐藤君は「毎週末撮影で出歩かないと気がすまない」ほど、写真が大好きだ。東北を中心に各地へ撮影旅行に出かけている。
 受賞作は昨春、桜を撮影するため桜前線を追いかけて秋田を訪れた際に偶然撮影したものだ。「おばあちゃんが駅で草刈りをしているところを見つけた。ちょうど夕方で、西日が降り注いでいて。それだけでもタイトルの『ひだまり』(を表しているが)で、少し待っていたら電車が通りたまたま車掌さんがあいさつをしていった。運命というか…出会いが巡り巡って奇跡的に撮れました。おばあちゃんと車掌さんとの関係性、ローカル線の温かさを表現できていればと思います」

部長になり部活改革 先生になって部員を指導

写真は中学2年生のころからコンパクトデジカメでの撮影を始め、デジタル一眼レフのカメラを高校で写真部に入部してから始めた。幼稚園の頃から祖父の撮影についていくほど、幼い頃から写真に興味を持っていたという。
 写真部の活動は、週に3回、多い時は平日毎日行っている。昨年度までは月曜に撮影テーマを決めて、金曜日に作品を部員で見せ合っていた。「それでは(技術が)向上しないかな」と思った佐藤君は、部長になった今年度から活動内容を改革。月曜日から水曜日は佐藤君が講師となりカメラの使い方や撮影方法などについて座学を行い、木曜日と金曜日は学んだことを実践するため学校近辺に撮影に向かう。合宿も行い、新潟県にある笹川流れで1泊2日の撮影会をした。

感性磨き、現場で実践することが大事「何度失敗してもいい」

上達のコツを聞くと、撮影の基礎を学ぶことも大切だとした上で「まずは撮影に向かい、実践すること」だという。「身近なところだけでなく、いろいろな風景を見てほしいです。そして、どんどん失敗してほしい。なかなか良い写真は撮れません。失敗から学び、自分の作品は自信を持って! そしてうまいな、と思っている人にアドバイスをもらう。何度失敗してもいいんです」

また、出会った風景を「良い」と感じられる感性を磨くことも大事だという。「(受賞作は)自分の技術よりもその場の風景がすばらしかった。素晴らしい被写体にであうことも大切。感性を磨いてほしい。いろんな風景を見に行って、いいなと思う作品をたくさん見る。構図を参考にしてみてもいいと思う。マネして撮ってみて、学んでみてもいい。それから『(自分らしい写真を撮るには)どうするか』考えていくのがいいと思います」
 写真家を目指すため、卒業後は専門学校で学びたいと考えている。

文科大臣賞を受賞した佐藤君