全国高校総体(インターハイ)陸上の女子4×100メートルリレー決勝が8月4日に三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場で行われ、立命館慶祥(北海道)が45秒68で初優勝を果たした。個人の100メートルで入賞した臼井文音(3年)と石堂陽奈(1年)を軸に、仲間を信じる力で結束力を高め、悲願の初優勝を遂げた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

インターハイ陸上400メートルリレーで初優勝した立命館慶祥のアンカー松田奈夏

1日1本のバトン練習で集中力磨く

北海道大会を制した4人ではあったが、今大会前までの2018年ランキングで立命館慶祥は出場チーム中、9番手。ランキング通りなら、8チームが相まみえる決勝の舞台に立てていなかった。だが、メンバーの頭の中には「優勝」という二文字しかなく、その絶対的な目標が4人の、そしてチーム全員の絆をより強固なものにしていた。

吉田梨緒(3年)と臼井の最上級生コンビが前半の1、2走を担い、後半の3、4走に石堂と松田奈夏(1年)のルーキーコンビが入る。今季戦ってきたいつも通りのベストの布陣で、「3走で大きく差をつけて勝つというのが自分たちのプランでした」と石堂は話す。2走以降の3人が手のひらに500円玉より一回り大きな黒い丸をマジックで書くのも、いつも通りのルーティンだった。前走者は「スポット」と呼んでいる丸を目がけてバトンを渡すのだ。

「バトン練習はほぼ毎日やっていました。普通のバトン練習ですが、試合は1人1回しか受け渡すチャンスがありません。そこで練習でも1本に集中して、失敗したらそれで終わる。いつも本番を想定して、しっかり1本で決められるように取り組みました」(臼井)

インターハイ陸上400メートルリレーで初優勝した立命館慶祥。左から吉田梨緒、臼井文音、石堂陽奈、松田奈夏

1年生アンカー「全く緊張せず」

決勝では、走り幅跳びが専門の吉田が「バネを生かして走ることができた」とまずまずのスタートを切ると、臼井は優勝を狙っていた100メートルで3位に終わった悔しさをすべてぶつけた。石堂は昨年の全国中学校大会100メートルチャンピオン。走りの実力もさることながら、リレーは北海道で2位となり全中出場を逃しただけに、仲間とバトンをつなぐ喜びも味わっていたはずだ。松田は「3人が絶対に1位でバトンをつないでくると信じていた」と振り返る。吉田が「ハートが強い」と評すように、アンカーを任されても「全く緊張しませんでした」と、後方から迫ってくるライバルたちを堂々の走りで振り切った。

「個々の選手がそれぞれ強いのでライバル心もあるけれど、昨日は『チームでまとまってみんなで団結しよう』と話しました」と吉田は言う。もともとある高い走力に加え、「心をひとつに」という思いが推進力となって、掲げていた目標は見事に達成された。