インターネットで誰もが不特定多数に向けて自由に発信できる「1億総メディア時代」。インターネットにはさまざまな情報があふれているけれど、何に気をつけて見ればよいのだろうか? ネットやソーシャルメディアについて分析している山口真一先生に話を聞いた。(野口涼)

偏った情報に触れている危険を知ろう

インターネットでは、発信する側のみならず「受信する側のリテラシー」も大切です。特に注意してほしいのは、見た情報をうのみにしないこと。例えば、特定のテーマに沿って情報を収集・編集したウェブサイトである「まとめサイト」は、あるニュースや話題に対して、ツイッターや大型掲示板のコメントがたくさん載っています。一見すると、多様な意見が集まっていると見えるかもしれませんが、これは「まとめサイトの管理者の意図に基づいて編集されたもの」です。まとめサイトをエンターテインメントとして否定はしませんが、そこに書かれている情報を見て「みんながこう思っているんだ」と受け入れてしまってはとても危険です。

自分の趣味・関心、意見に近い情報に囲まれている

「Google検索」は、ユーザーの行動分析(検索結果からユーザーの興味や関心が高い情報を調べること)によって、結果の順位が変わる仕組みになっています。「自分と近い情報・自分が見たい情報」しか見ていないのです。

無限といってもよいネット上の情報の中で、私たちが触れる情報はそうとは気づかないままフィルタリング(選別)されています。人は自分と同じ考えを持つ人の中にいるとき、意見がより先鋭化していく(極端になっていく)そうです。自分が受信した情報が偏っている可能性を常に意識しておきましょう。

 
山口真一先生
やまぐち・しんいち
2015年慶應義塾大学大学院経済学研究科で博士号(経済学)取得。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教を経て、16年より同講師。著書に『ネット炎上の研究』(勁草書房、税込み2376円)、『炎上とクチコミの経済学』(朝日新聞出版、税込み1512円)など。