東京大学では1・2年生全員が教養学部に所属して、前期課程と呼ばれる2年間で幅広い学問分野や、学問の方法について学びます。多和田萌花さん(文科三類2年)が1年生の授業について教えてくれました。

文系・理系幅広く学ぶのが特徴

今回は1年生の授業について紹介します。

多和田萌花さん

「外国語」や「情報」などは必修の授業で、科類・語学によって振り分けられたクラスごとに曜日と時限が指定されています。1年生のうちは必修が多いため、授業でほぼ毎日クラスメイトと顔を合わせることで仲良くなれます。

一方で「総合科目」と呼ばれる授業は、様々な学問分野の授業を自分の興味関心に合わせて自由にとることができます。A(思想・芸術)からF(数理・情報)までテーマごとの系列とL(言語・コミュニケーション)があり、中には映画論やジェンダー論など、高校の授業にはないようなユニークものまであります。私は文系ですが、進学のためには文系だけではなく理系の科目を取ることも必要とされていて、幅広く学べるところが教養学部の良さです。授業を一覧で見ることのできるシラバスや、先生の厳しさや単位の取りやすさなどが学生によって評価された「逆評定」と呼ばれる冊子(東大内のサークルが編集して販売しています)などを参照しながら履修を決めます。

多和田さんの授業ノート

興味のあるテーマで学問の方法を学ぶ

そのほか東大の1年生がとる授業として特徴的なのは、まず「初年次ゼミナール」です。これは大学ならではの「自ら学ぶ」姿勢を身につけるため文理共に必修となっている授業で、先生方の専門を生かした様々な分野から興味のある授業を選ぶことができます。私はかねてから関心のあった「紛争と介入」というテーマの授業を選び、文系の大学生活で必須となるリサーチや論文執筆の方法について実践を通して学びました。フィリピン南部の紛争に対するマレーシアの介入について調査していたのですが、TA(ティーチング・アシスタント:授業のサポートをしてくれる大学院生)の助けも借りながら、有意義な調査をすることができました。

多和田さんの1年生の時の時間割

スピーキング力伸ばす授業も

また、英語での論文執筆を行う特徴的な授業も必修です。文系学生が受ける「ALESA 」(Active Learning of English for Students of the Arts)で文献調査を、理系学生が受ける「ALESS」(Active Learning of English for Science Students)では実験考察などを行います。私はALESAで日本の国連平和維持活動(PKO)について執筆しましたが、文献を探すことはもちろん、日常会話などとは異なるアカデミックスタイルの英語で論文を書くことに苦労したことをよく覚えています。この授業は、1年生の授業で最も大変だと言われる授業の一つです。

その他、流暢に議論ができるよう実践的な英語のスピーキングを学ぶ「FLOW」(Fluency-Oriented Workshop)や高校での体育のような「スポ身」(スポーツ・身体運動)と呼ばれる授業もあります。教養学部には本当に様々な授業があるので、一つは必ずお気に入りのものが見つかるはずです。