室町時代の作か

14世紀中ごろの室町時代に描かれたとみられる、本州から九州のほぼ全域が描かれた最古級の日本地図が見つかった。広島県立歴史博物館(福山市)が発表した。

「日本扶桑国之図(にほんふそうこくのず)」と呼ばれる縦122センチ、横57センチの
地図で、同市出身の収集家が博物館に寄託した。地図は、西(九州側)を上、東(東北側)を下に、京都を中心に近江や信濃など68の旧国が丸みを帯びた形で描かれている。京都から各地に伸びる道路や海路も描き込まれていた。欄外には国名、郡名、人口、田畑の面積などの記載がある。

沖縄は、鎌倉時代の地図の表記で使われた「龍及(りゅうきゅう)国」と表記され、体が人で頭は鳥の住民が住んでいるという伝説も付記されていた。

2月に寄託を受けた博物館は、紙質や文字の書体などを分析、作製年代を14世紀半ばごろと特定した。作者は不明という。

これより古い日本地図は14世紀初めに描かれたとされるものなどが現存しているが、いずれも一部の地方が欠損している。今回の発見は、日本地図の変遷をたどる上での手掛かりとなりそうだ。

日本扶桑国之図(広島県立歴史博物館寄託・守屋壽コレクション=広島県立歴史博物館提供)