昨年8月のバレーボール世界ユース選手権に出場した、19歳以下(U19)日本代表の大塚達宣(京都・洛南3年)。世界レベルとの差を感じ、日々の練習の意識を変えた結果、今年1月の全日本高校選手権(春高バレー)では絶対的エースとして洛南を準優勝に導いた。見据えているのは6年後のパリ五輪だ。 (文・白井邦彦、写真・中村博之)
練習から世界を意識
「スピードや高さなど身体能力がまるで違う」。世界ユース選手権で世界レベルとの差を感じた。最高到達点338センチというVリーガー並みのジャンプ力を誇る大塚でさえ、準決勝で敗れたロシアの高さは異次元に感じた。「日本のブロックの上からアタックされました。あんな経験は高校の大会では味わえない」
帰国後、「世界」に目が慣れていたため「高校の試合ではプレーが遅く感じた。高さも低く思えた」と言う。ただ、日を追うごとに感覚は高校レベルに戻っていく。「やばいなぁと(笑)。練習から常に世界を意識してやろうと決めました」
洛南の細田哲也監督は「代表から帰ってきて、アタックを強く打つだけではなく、ネット際に落としたり、ブロックアウトを狙ったり、いろいろと考えるようになった気がします」と変化を口にした。
重圧に打ち勝った
ターニングポイントは、昨年11月の春高バレー京都府予選決勝。夏の全国高校総体(インターハイ)予選で敗れた東山に競り勝ち、自らの成長を実感した。「年間で一度も全国大会に出ない状況は絶対に避けたい。だから勝たないといけないというプレッシャーがすごく大きかった。個人的にもエースとしてチームを勝たせないといけないと思っていました」
フルセットにもつれこみ、終盤にはセッターやアタッカーらが相次いで肉体の限界を迎えて離脱。その中で、大塚は次々と意地のスパイクを決めてチームを勝利へ導いた。「重圧の中で勝ち切れたことに、チームとしても個人としても成長を感じました」
パリ五輪を見据えて
その後、洛南は春高バレー準優勝と躍進。当時のメンバーが多く残る今年は、インターハイでも大本命と目されている。「昨年とはまた違ったプレッシャーがあると思いますが、一つ一つ勝って頂点を狙います。その積み重ねが6年後のパリ五輪につながると思います」
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- 2000年11月5日生まれ、大阪府出身。バレーボール経験者の両親の勧めで小学3年から競技を始め、中学生までパナソニック・パンサーズジュニアでプレー。中学3年時にはクラブチームの全国大会で優勝。勉強と競技の両立を求め、高校は洛南を選んだ。193センチ80キロ。
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Q&A 家族との時間を大切に
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Q 休日の過ごし方は?
- A 家族と過ごす時間を大切にしています。予定が合うときは温泉旅行などにも出掛けます。家でゴロゴロはせず、どこかに出掛けることが多いですね。
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Q 好きな食べ物は?
- A 好き嫌いがないので、なかなか選ぶのは難しいですね。強いて言うならトンカツ。お母さんのもおいしいですし、おばあちゃんが作ってくれるトンカツもうまいです。
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Q 試合前に聴く音楽は?
- A テンションを高めたいので、試合会場までの移動中にアップテンポで、前向きになれる歌詞の邦楽を聴きます。
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Q 試合前のルーティンは?
- A いろいろと考えてしまうタイプで、試合前はわりと緊張します。なので、試合前日などに「自分のいいプレー集」みたいな録画映像を見て、いいイメージを頭に浮かべて試合に挑みます。