第65 回全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)決勝が埼玉・所沢市民体育館で1月13日に行われ、男子は星城(愛知)が大塚(大阪)を3-1で下し、全国高校総体(インターハイ)、国体に続く全国制覇を達成。高校3冠を成し遂げた。女子は下北沢成徳(東京)が誠英(山口)を3-0で破り、10大会ぶり2度目の優勝を果たした。 (文・田中夕子、写真・幡原裕治)

8月のインターハイ、10月の岐阜国体に続いて春高を制すれば高校バレーの「3冠」タイトルを獲得する。その挑戦権を与えられた唯一のチームが、優勝候補筆頭の星城だった。

ユース代表メンバーの石川祐希=愛知・矢作中出身=を柱に、山崎貴矢=同・応時中出身、武智洸史=同・維新中出身=ら高い攻撃力を誇る2年生が中心の星城。王者とはいえ、試合の立ち上がりで相手に先行されるケースが多く、春高でも初戦の駿台学園(東京)、準決勝の鹿児島商(鹿児島)に一時は5点差をつけられることもあった。

しかし3年生で唯一のレギュラーである山内康敬=同・六ツ美中出身=が「劣勢から跳ね返すことを想定して、ゲーム形式の練習を重ねてきた」と言うように、相手にリードされても焦ることなく、劣勢の場面でもエースの石川が着実に得点し、決勝に進出。悲願の3冠へ王手をかけた。

対する大塚は国体で星城に敗れており、「打倒星城」を誓い春高に臨んだ。決勝では、前衛だけでなくバックアタックも絡めた多彩なコンビバレーを展開。第1セットを失いながらも第2セットを奪った。

それでも、試合を決めたのは、やはり星城のエース石川。優勝を決めるポイントも石川のサービスエースで決め、3-1で勝利した。竹内裕幸監督(38)は「この大会を勝ち上がる難しさを実感した。試合に出るのは2年生だが、3年生がチームをまとめてくれた」と感無量の表情で喜びを語った。

有言実行のエース 石川祐希

インターハイ、国体に続き、春高を制する原動力となった星城の石川祐希は、すでに世界を見据えている。

普段から「注目されることもプラスになる。マークが厳しくなればなるほど、『やってやるぞ』という気持ちになります」と話す石川。17 歳以下を対象とするユース男子日本代表のエースとして、10 月にはアジアユース選手権(イラン)に出場し、ベストスコアラーを獲得した。最高到達点338㌢の高さに加え、空中で相手ブロックを見てから打つ技も併せ持つ。

現在の高校男子バレーボール界では押しも押されもせぬエースだが、ユース代表のコーチも務める竹内裕幸監督は、石川の可能性をさらに広げるために「セッターにも挑戦させたい」と展望を語る。攻撃力のみならず、守備も器用にこなす石川だからこそ選択肢も広がる。

 

「絶対優勝するという気持ちで臨んだ」春高を制し、星城は今季の高校バレータイトルを総なめにした。有言実行で3冠を達成した石川は、「来年も3冠を獲って、将来は全日本で活躍したいです」と来季へかける意気込みを語った。

いしかわ ゆうき 1995 年12 月11日、愛知県生まれ。入学直後からレギュラーに定着。2011 年の北東北インターハイでは、1年生で唯一の優秀選手に選ばれたオールラウンダー。189㌢、70㌔。