政府は、成人年齢を20歳から18歳に引き下げ、女性が結婚できる年齢を16歳から引き上げて男女ともに18歳とする民法改正案が6月13日に成立した。2022年4月1日に施行される。何が変わり、何が変わらないのか。

親の保護から独立

Qそもそも成人とは?

「成人年齢」は、法的には親の保護から独立し、自分の意思で行動できることを意味する。1876(明治9)年の太政官布告で20歳とされ、20年後に制定された民法に明記されて以来続いていた「大人」の年齢が変わる。

Qなぜ引き下げるの?

2014年に憲法改正手続きを定めた国民投票法が改正され、投票権が18歳以上になったのがきっかけ。これに伴って、公職選挙法や成人年齢の見直しも求められ、16年6月の改正公選法施行で選挙年齢は一足先に18歳以上になった。少子高齢化が進む中、若者の積極的な社会参加を促す狙いもある。

悪質商法対策が課題

Q何が変わるの?

18、19歳でも親の同意なくローン契約を結んだり、クレジットカードを持つことなどができるようになる。ただ、未成年者が結んだ契約は、親が取り消せるが成人はできないため、「社会経験が乏しい若者は悪質業者の標的になりやすい」との指摘がある。政府は、不安をあおる商法や恋愛感情を利用するデート商法などで結んだ契約を取り消せる規定を盛り込んだ消費者契約法の改正などを検討している。

関連法では、10年有効パスポートが18歳から取得可能になるほか、司法書士や公認会計士などの資格も18歳以上で持てるようになる。

また、これまで結婚できる年齢は男性18歳、女性16歳だったが、「男性と女性を区別するのはおかしい」という意見が強まり、改正法では18歳に統一された。

飲酒、喫煙は20歳から

Q変わらないことは?

飲酒と喫煙、競輪や競馬など公営ギャンブルの20歳未満禁止は維持される。

また、少年法は矯正を重視し、20歳未満で罪を犯した場合は全て家庭裁判所に送られ、刑事罰ではなく保護処分を中心に処遇されている。「成人年齢を18歳にするなら、少年法の適用年齢も18歳未満に引き下げるべきだ」という考えがある一方で、立ち直る機会を与えるため現行のままで良いという考えもあり、議論が重ねられている。