桐朋(東京)バスケットボール部が、1月の東京都新人戦(男子)で3位に入った。ほかの強豪校に比べ練習時間は少ないが、「時間が短いからこそ集中して練習に励もう」という意識が、成長の土台になっている。
(文・写真 青木美帆)
古武術を導入
練習開始は午後4時、選手たちがコートサイドに並んだ。直後、「なんば走り」を一斉に始める。右手足と左手足をセットで前後させるその走り方は一風変わった動きだ。
金田伸夫監督は1999年、体に負担を掛けず、最低限の動きで大きな力を生み出す動き「古武術」をトレーニングに導入した。メニューはチームに合わせて変更し、現在はなんば走りをウオーミングアップに取り入れている。
志鶴友哉主将(3年)は「最初はすごく気持ち悪かったけど、体力を浪費せずアップできるなんば走りは、練習時間が短い僕たちにはぴったりのメニューです」と話す。
タオルでけが防ぐ
選手たちは練習中、足首にサポーターを装着するかテーピングを巻くことを義務付けられている。さらに、膝や腰にもサポーターを巻く選手、1対1の練習では衝突時のけがを防止するため頭にタオルを巻く選手もいる。全てはけがを防ぐためだ。「部活を引退した後、彼らの体に傷を残したくないんです」(金田監督)
練習は週4日
練習は週4日、きっちり2時間30分。ほかの強豪校と比較すると圧倒的に少ない。このような環境で都新人戦3位になれた理由について、中勢優一(3年)は「強豪校の選手と比べて技術が乏しい分、一つ一つのプレーに集中し、精度を高めようと意識して練習してきたからでは」と分析する。
熊坂拓海(3年)は「時間が限られているので、毎回の練習で絶対に上達しようとしています」と話す。その意識は部全体に根付いている。
強豪とは違う練習を 金田伸夫監督 コートが1面しか使えないので部員全員が集まると足の踏み場もありませんが、全員が同じメニューに取り組めるよう、コートを細かく区切って練習させるなど工夫しています。強豪チームと同じ練習をしても、われわれのような環境にあるチームはかないません。常に試行錯誤を重ね、その年のチームに最適な練習メニューを作成しています。 |
- 【TEAM DATA】1960年創部。部員45人(3年生20人、2年生10人、1年生15人)。2000年、全国高校選抜優勝大会(ウインターカップ)に初出場しベスト16。中高一貫校で、金田監督は中学のバスケットボール部も指導する。