外から帰ってきたら、うがい薬でうがいする習慣がある人も多いのでは。一日何回でもうがい薬を使っていいものなのだろうか。そもそも、薬液を使わなければいけないのか。牧野記念病院(横浜市)の内科医・建部雄氏さんに教えてもらった。

ヨードうがい薬液は喉の細胞を傷つける

ノドの粘膜には、もともと人間と共生関係状態にある種々の常在細菌が存在しています。 その細菌群は通常、ヒトに疾病を起こすことはありません。むしろ、インフルエンザウイルスや風邪の原因ウイルスや病原菌などの侵入を防いでいます。

ところが、ヨウ素をはじめ、高い殺菌効果のある物質が作用すると、それらの常在細菌が減ってしまいます。そこに、インフルエンザウイルスや風邪の原因ウイルスや病原菌が侵入してくれば、それだけ感染が容易になってしまうのです。

特にヨードうがい薬液については、京都大学保健管理センター(現・健康科学センター)の川村孝教授の研究グループが行った調査において、高い殺菌効果と引き換えにノドの粘膜の細胞も傷つけてしまい、その結果、かえってインフルエンザを含む風邪をひきやすくなってしまうらしいという結果が判明しています。

頻繁にうがいするなら水道水かぬるま湯

先述の通り、ヨードうがい薬液などの消毒液を使った頻回なうがいは、ノドにいる常在細菌までしっかり殺菌することで、かえってインフルエンザを含む風邪の原因ウイルスの付着・侵入が成立してしまいます。うがいを頻繁に行うことで予防したい場合は、普通に水道水かそのぬるま湯の利用で大丈夫です。

建部雄氏さん  たてべ・たけし 京都市生まれ。2001年、昭和大学医学部卒業。大規模総合病院の救急科で経験を積み、急性期病院・クリニックの勤務を経て現職。