生き物の「リズム」刻む

医学生理学賞は、生き物の一日のリズムを刻む「体内時計」の仕組みを解明した米国人研究者3人に授与される。

人を含む動物や植物は、地球の自転によって起きる昼夜のリズムに合わせて、代謝や睡眠などの活動が起きている。人は海外旅行でリズムが狂うと時差ぼけの原因になるほか、不眠症やうつ病など健康に悪影響が出ることもある。

ショウジョウバエで実験

体内時計の仕組みはよく分かっていなかったが、3人はショウジョウバエを使った実験で、昼と夜のリズムに合わせて働き具合が変わる遺伝子を発見。この遺伝子が働かないようにすると体内時計の機能が失われることも確かめた。

ぜんそくや不眠にも関連

朝、目が覚め、夜、眠くなる。これは体の中に生まれつき備わっている体内時計のおかげだ。時計は体の各部にあり、食事や睡眠などの行動リズムをつくっている。眠りの深さや血圧の上昇、体温調節などの人体の機能と関連し、夜更かしなどでこの時計が狂うと、高血圧や肥満などの生活習慣病、うつ病などの精神疾患になりやすくなることも分かってきた。

未明にぜんそく発作が起きやすく、朝は鼻炎、関節リウマチの悪化や心筋梗塞などの頻度が高いのも、体内時計の乱れが影響しているとされる。

現代社会で増加している不眠症や睡眠障害は、夜型の生活による時計の乱れが関連しているとの指摘もあり、時計を正常に動かすためには規則正しい生活が必要なのだろう。