東京工業大学は10月3日、次期学長の最終候補に益一哉教授(ます・かずや=同大科学技術創成研究院長)を選んだ。文部科学大臣の任命を経て正式に決まる。任期は2018年4月から4年間。
同大の学長選考会議は、学内から推薦があった益教授と岸本喜久雄教授(同大環境・社会理工学院長)を学長候補者に選び、9月に学内公開ヒアリングと意向投票を実施。教職員による意向投票では益教授(307票)を岸本教授(332票)が上回ったが、選考会議は候補者へのインタビューなどもふまえ、全会一致で最終候補を益教授に決めたという。国立大の学長は、かつては教員による選挙で事実上決まっていたが、2004年の法人化後は、学内の意向投票は参考にとどめ、学内外の委員から成る学長選考会議が最終的に選ぶようになっている。
益教授は1954年生まれ。神戸市立工業高等専門学校を卒業し、75年に東京工業大工学部に編入。82年同大理工学研究科電子工学専攻博士課程修了。東北大学助教授などを経て、2000年から東京工業大教授。専門は電子デバイス、集積回路工学など。所信では、「個々の構成員のベストなパフォーマンス発揮こそが、組織目標を達成する最大のパフォーマンスを生む」が大学運営の信条であるとし、「科学技術で新時代をリードする世界に誇れる東京工業大学創り」に取り組むと訴えた。具体的には(1)大学業務環境の改善・補強策(2)教育・研究システムの環境改善・補強策(3)東工大ブランドの強化策を実施するとしていた。
東工大は、12年に就任した三島良直現学長のもと、学部と大学院を接続した「学院」制度の導入や、リベラルアーツ教育の強化といった改革を進めている。