政府は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊を5月末に撤収させる方針を決めた。施設部隊約350人の撤収で、日本が国際貢献の 柱としている、自衛隊部隊を派遣する形でのPKO活動はなくなる。派遣をめぐっては、日本が定めるPKO参加5原則が守られていたかも問われた。
昨夏に治安悪化 問われた「5原則」
Q 自衛隊の活動内容は?
南スーダンは、内戦を経て2011年にスーダンから分離独立した。日本政府は南スーダンの安定と開発支援を目的に、12年1月からインフラ整備を任務とす る自衛隊を派遣。首都ジュバ近郊での道路補修や施設整備にあたった。現在は11次隊約350人がジュバで活動している。
Q なぜ撤収を決めたの?
政府は撤収を判断した理由として、派遣開始から今年1月で5年となり「過去最長の派遣となり、過去最大規模の実績を積み重ねた」ことなどを挙げた。
南スーダンでは昨年7月、ジュバで270人が死亡する大規模な武力衝突が起きるなど治安情勢が悪化し、撤収の背景には派遣部隊に「不測の事態」が起きれば政権運営に悪影響を与えかねないとの思惑もありそうだ。
Q 参加5原則とは?
日本のPKO参加には①紛争当事者間の停戦合意②当事者による日本のPKO参加への同意③中立的立場の厳守④これらのいずれかが満たされなくなった場合の 即時撤退⑤要員の生命保護など必要最小限の武器使用──と、憲法9条の枠を超えないよう設けられた5原則がある。しかし、大規模衝突の発生で、停戦合意は 守られていたかが問われた。
Q 南スーダンはどうなる?
国連人道問題調整室は、南スーダンなど4カ国で計2千万人以上が飢餓や食料不足に陥り「国連創設以来、最大の人道危機に直面している」と指摘、特に南スーダンについては「これまで以上に状況が悪くなっている」と懸念を表明している。
国連平和維持活動(PKO) 国連による紛争地での停戦監視や治安維持などに関連する活動。加盟国が小規模な部隊を派遣して行う。専守防衛を掲げてきた日本は自衛隊の海外派遣に慎重だったが、1992年のカンボジアを皮切りにモザンビーク、東ティモールなどに要員を派遣した。