コミカルな会話のやりとりで会場を笑いに包んだ東播磨高校演劇部(8月27日、東京・国立劇場)

高校野球の応援席が舞台

演劇部門の最優秀賞を受賞したのは、顧問の先生の脚本による「アルプススタンドのはしの方」を上演した兵庫・東播磨高校演劇部。全国高総文祭初出場で最高の賞を得た。

物語は、野球場の応援席を舞台にした、葛藤を抱える4人の高校生の会話劇。演技で苦労したのは「目の動き」と部長の長井美彩紀さん(3年)。「野球部の試合状況は音響で伝えます。『カキーン!』などの効果音に合わせ、会話を止めて試合を見たりボールを目で追ったりするので、役者たちの動きが揃うまで練習を重ねました」

長井さんは中学までの消極的な性格を変えたくて演劇部に入部した。部長に就任してからは、真剣に演劇に取り組むあまり、衝突を繰り返す部員たちに手を焼いたこともあったが、部員全員と本音で向き合う姿勢で部を一つにまとめた。「自分の内面をさらけ出す怖さはもうない」

総文祭本番、部員たちは緊張が抜けなかったが、自分たちの演技で観客が笑ったことで本来の力を取り戻した。「みんな最高の芝居でした」(長井さん)

「楽しくなけれりゃ演劇じゃないじゃん」という部のモットーをあらわした「ヒガハリMAX!」のポーズを決める部長の長井さん(左)と佐田大幸君(3年)