滋賀・彦根東高校新聞部は、第 41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文)新聞部門の最優秀賞に決まり、8月1日、仙台市の東京エレクトロンホール宮城であった部門大会で表彰された。10年連続受賞の快挙だ。(野村麻里子)
部員で紙面を精査する時間を大切に
最優秀賞には彦根東など5校が選ばれた。彦根東高校新聞部ではタブロイド判の本紙「彦根東高校新聞」を年10回、速報新聞「キマグレ」を年約150回発行している。モットーは「やりたいことは何でもやる」だ。平日は放課後に毎日、土日はどちらかが活動日で、1年生11人、2年生8人で制作している。
部員全員で紙面内容を精査する「校正会」を大事にしている。記事の内容はもちろん、デザインや使用する写真などすべてをていねいに確認する会だ。部長の小杉菜々伽さん(2年)は「何回も読むことで良いものになっていく」と話す。
甲子園出場の野球部員を密着取材し毎日速報
今夏、同校野球部が甲子園出場を決めた際には号外を発行し、彦根駅と県大会決勝が行われた皇子山球場で配布した。その後の市役所での激励会、バッティングセンターでの練習も取材し、甲子園練習にも同行するなど、選手たちを密着取材しているという。
現在、速報新聞の発行ペースを上げて、1日1~2回制作し、野球部の活躍を徹底報道している。「すごくありがたい機会だという思いをみんなで共有して制作しています」(小杉さん)
滋賀から「福島の今」を7年報道
今年で7年目になる企画「福島をつなぐ」は、福島・相馬高校が東日本大震災後、約1か月で学校新聞を出したことに感化された同部が、「滋賀から何か伝えられることはないか」と福島に関する報道を始めたのがきっかけだという。
小杉さんは、今年5月発行号に掲載した、3月11・12日に福島に訪れアンケートやインタビューした結果をまとめた記事制作に一番思い入れがあるという。テーマは、「震災から6年経ったいまの課題」。記事の方向性を定めてまとめるのが難しかったという。校正会では「記事のまとめ方の軸を考えたほうが良い」などの指摘を受け、アンケート結果の集計を初めからやりなおしたという。「復興の価値観は人それぞれということを実感した」と振り返る。
新聞部に入りたくて、同校に入学したという小杉さん。「これまでの活動は私にとってすべて収穫になっている。『聞こう』という姿勢ができて、取材で何を質問すればよいか考える力が上がったような気がする」と話した。将来はメディア関係の仕事に就きたいと考えている。