◆効率的に練習 さまざまな技術を組み合わせて練習し、限られたスペースでなるべく大人数が参加できるよう工夫

今年1月の全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)で3位に入った柏井(千葉)女子バレーボール部。専用の体育館を持つ私学の強豪校が多い中、ほかの部と体育館を共用しながら、工夫を凝らした練習とハングリー精神で全国の強豪へと成長した。今夏のインターハイ、さらに来春の春高バレーで日本一を目指す。(文・田中夕子、写真・幡原裕治)

時間とスペースを有効活用

バスケットボールコートが2面取れる体育館の4分の1。これが同部に与えられた練習スペースだ。春高バレーで銅メダルを獲得した強豪校が練習するには、決して十分とはいえない広さである。

46人というバレーボール部としては大所帯の部員を、レギュラーとリザーブの2グループに分け、一方はトレーニングやランニング、もう一方はコートの中でボールを使った実戦練習を行う。

実戦練習では、スパイク、ブロック、サーブなどの時間を1つずつ区切るのではなく、サーブを打つ、そのボールをレシーブしてスパイクを打つ、といった一連の流れに沿った練習にするなど、時間とスペースを有効に使う工夫を施している。

練習メニューの切り替えもスムーズだ。エースの中元南主将(3年)は「コートを確保できないのは仕方ない。その分、内容の濃い練習をしている自信があります」と胸を張る。

全員が声を出して盛り上げながらスパイク練習をしたかと思えば、今度は一転して黙々とサーブレシーブに取り組む。練習にメリハリをつけることで「集中力が高まるだけでなく、神経系を刺激するトレーニングにもなる」と国安鉄太郎監督は言う。

◆集中力トレーニング ネットの前に置いたリングを目がけサーブレシーブを返す。声を出さず黙々と集中力を高める
 

体幹強化で技術アップ

スパイク練習も単に1つのコースから打つのではなく、センター、レフト、ライトの各コースからクロスとストレートに打ち分ける。ボールを使った後は体幹トレーニング。その効果は選手も日々の練習で実感しているようで、副主将の工藤嶺(3年)は「高校に入ってから本格的に体幹を鍛えたおかげで高い打点から打てるようになりました」と笑顔を見せる。

全員が千葉県内の選手で、上下関係もなくチームワークは抜群。悲願の日本一へ向け、「公立の星」は進化を続けていく。

熱意はどこにも負けない(国安鉄太郎監督)

決して恵まれた環境ではありませんが、選手も私も「勝ちたい」という熱意だけは、どこにも負けない自信があります。中学時代から実績のある選手は少ないですが、体幹トレーニングや、試合形式で行う状況を細かく設定した練習で力をつけてきました。突出したレベルの選手がいるわけではないので「全員でうまくなる」ことを日々の練習から意識しています。

 
TEAM DATA
1981年創部。部員46人(3年生15人、2年生15人、1年生16人)。インターハイ13回、春高バレー14回出場。地元選手ばかりのチームを国安監督の手腕で鍛え上げ、2013年1月の春高バレーで3位と躍進。15年1月の同大会でも3位に入るなど、女子バレー界の「公立の星」として目覚ましい活躍を遂げている。