全国高校総合体育大会(インターハイ)バスケットボール競技は7月31日、あづま総合体育館(福島)で男女準々決勝が行われ、男子の広島皆実(広島)は福岡第一(福岡)に65-78で敗れた。敗れはしたが、昨年度の王者かつ今年の優勝候補に一時リードを奪った戦いぶりは、称賛に値するものだった。(文・写真 青木美帆)
冬のリベンジに燃えた
県外や国外から有望選手が集まった福岡第一に、県内出身者のみで構成された県立校の広島皆実が勝つ――。多くの人が予想していなかった大波乱が本当に起こりそうだった。
広島皆実は長らくベスト16の壁に苦しんできた。1、2回戦を勝ちぬいても、次に待ち構える留学生の高さとパワーにどうしても対抗できなかった。昨年のウインターカップでも3回戦で福岡第一と対戦し、75-89で敗北。原未来斗主将ら4人の現3年生はスタメンとしてその悔しさを味わった。
今大会の組み合わせが決まると、「(福岡)第一のところまで勝ち上がって、絶対に去年のリベンジをしよう」(原)と選手たちは燃えた。2回戦の東海大諏訪(長野)、3回戦の高知中央(高知)と、長身の留学生を擁するチームを接戦で退け、藤井貴康コーチ就任以来初となるベスト8に進出。今日も「ハイピック」という戦術を駆使してディフェンスとのズレを作り、大道拓将(3年)や深渡瀬海(3年)のアウトサイドシュート、三谷桂司朗(1年)のゴール下のシュートで得点を重ね、第2ピリオド開始早々に逆転に成功。最大8点のリードを奪った。
県内出身者だけでも戦える
しかし、同点で迎えた最終ピリオドは、福岡第一に一気に畳みかけられ5連続得点、10点差を奪われた。藤井コーチや原に「思い切り行け」と託された深渡瀬のシュートも決まらず、万事休す。原は「シュートが入らなかったし、相手にリバウンドを取られて走られたときにハリバック(素早く自陣に戻ること)ができなかった。際のところでの走力や集中力。それが相手のほうが一枚上手だったかなと思います」と振り返った。
原はこうも言った。「『県内の選手しかいない地方のチームでも、留学生がいるチームと戦えるんだ』とずっと証明したかった。それが今回ある程度達成できてうれしかったです」。
ウインターカップでは追われる立場になるが、「決して上を見ず、足元を見ながら、もう一回ベスト8に入って、最後は決勝まで行けるように頑張っていきたいです」と抱負を語った。