実戦を意識した練習を毎日繰り返す

男子とトレーニング

全国大会に男女アベック出場を果たすバレーボール部は少なくないが、一緒にトレーニングをする学校は極めて少ないはずだ。
そんな「例外」ともいえるのが川崎橘(神奈川)。全国大会常連のバレーボール部女子は、同じく強豪の男子部と共にボール練習前のダッシュや、サーキットトレーニングに励んでいる。

体力づくりのためのメニューを男女一緒に行った後は、それぞれのコートに分かれボールを使った練習が始まる。
パス練習は、2人一組で向き合って行うのが一般的だが、川崎橘は4人で2つのボールを同時に使い、左右、アンダー、オーバーなどで時間を定めて変化を加える「四角パス」を取り入れている。

スパイク練習はセッターがトスを上げ、スパイカーが打つというシンプルなコンビ練習ではない。監督、コーチが打ったボールをレシーブし、そのボールをセッターがトスして、スパイカーが打つ。バレーボールは攻守が目まぐるしく変化するため、「流れ」の中でプレーする感覚をつかむことを重視している。セッターの野田萌愛(3年)=神奈川・原中出身=は「どの場面で誰を使えばいいか、練習中から意識することができるのが大きい」と手応えを感じている。

立ちはだかる10人

練習の最後は、レギュラーの6人が10人以上の選手とコートで向き合い、サーブから始まる試合形式の練習をする。ブロッカーもレシーバーも普段より多いので、レギュラーの6人は単調な攻撃では決め切れない。どうすれば崩せるのかを各自が考え、試し続ける。
キャプテンの大辻彩香(3年)=同・久里浜中出身=は「全国で勝つために、胸を張れる練習をしている自信がある」と言い切る。常に自分たちで考えて動き、練習に臨む姿勢があるから、強くあり続けることができるのだ。

 

競り合いに負けない体をつくる(坂本誠二監督)

【Profile】
1968 年生まれ。日本大学を卒業後、神奈川県内の高校に赴任。91 年から川崎橘の外部コーチを務める。2002 年から08 年まで西高津中(神奈川)に赴任し、09 年から川崎橘バレーボール部女子監督。

バレーボールは「流れ」が勝敗を分ける競技なので、どんな状況でも、選手たち自身が「考える能力」を持たなければなりません。そのために、ああしろ、こうしろと抑えつけるのではなく、選手の自主性を育むことを重んじて指導しています。
大事な場面で勝敗を分けるのは、やはり基本技術です。競り合った場面でも普段通りの力を発揮するために、体づくりやパスなどの基本を大切にしています。試合期でなければ、ダッシュやサーキットトレーニングを毎日行い、体力強化、けがをしない体づくりに励みます。

大砲がいるわけではないので、いかにチーム力を高められるか。「心は一つ」を合言葉に、全国で勝負できる強いチームになることが目標です。

 

キ―プレイヤー

大辻彩香(キャプテン・レフト)

新人戦は大和南に負けてしまいました。インターハイと春高の予選では必ず勝てるように、オンとオフをしっかりつけた練習で鍛えます。

乾さやか(3年)(副キャプテン・リベロ)=神奈川・柿生中出身

トレーニングでは男子が声を出して盛り上げてくれるので、きつい練習もみんなで楽しみながら取り組むことができる。お互いが頑張れる。

【TEAM DATA】
1942 年創部。部員20 人(3年生12 人、2年生8人)。インターハイは91 年に初出場。2012 年優勝。春高バレーには94 年から20 年連続で出場中。OG の島村春世はV・プレミアリーグのNECレッドロケッツで活躍中。