学校のクラスメイトとクリスマスパーティー。左端が柴さん(本人提供)

淑徳高校には、1年生の夏から1年間、海外留学に行くコースがあります。私はこのコースに所属し、カナダにあるラングリークリスチャン高校で勉強してきました。

キリスト教文化に戸惑い

初めは観光気分で、日本と違う街の景観や建物の造り、食の違いにいちいち感動していましたが、少しずつ日本との文化のギャップに苦戦することにもなりました。

一番違うと感じたのは宗教観です。淑徳高校は浄土宗の学校ですが、ラングリークリスチャン高校はキリスト教。聖書の授業があり、キリスト教について学びました。食事の際はお祈りの言葉を唱えて、毎週日曜日には教会に行きました。手を組み、床に膝をつく、慣れないお祈りの姿勢をすることに恥じらいもありました。キリスト教の習慣は、自分の価値観を広げるいい経験であると思いながらも、未知のことに戸惑う場面が多かったです。

合唱団に入団 歌に感動

学校の合唱団に入り、たくさんのキリスト教の歌に出合い、その美しさにとても感動しました。

歌詞の解釈や難しい単語の意味を質問するうちに自然とコミュニケーションが取れ、友達もできました。その友達に誘われてコンサートやジャズバンドの授業にも参加し、大好きなサクソホンを担当しました。大会に向けて仲間と練習し、金賞を受賞できた時は、言語や価値観の違いを超えてメンバー全員が一つになれたと実感しました。

また、フランス語の授業を受けたり、校内ボランティアに参加したり、異文化交流会で日本文化を紹介したり、さまざまなことに挑戦すると、交友関係は自然と広がりだしました。その積極性が自分を成長させてくれたと確信しています。

街づくりに関心

留学生活に慣れたころ、将来を考えるきっかけを見つけました。

今までは練習の成果を発表する場だったバンドや合唱団のコンサートも、地域の振興を担っているのだと気づきました。さらに「宗教を学ぶ場」として見ていた教会は、地域のコミュニティーを形成する役割を果たしていることを知りました。

大都市でありながら大きな公園を有し、サイクリング客でにぎわうバンクーバー、季節ごとの果物の収穫祭で盛り上がる街……。日本では経験できない生活の中で、街づくりと人々の生活に関心が湧きました。そして、将来は地域振興や街づくり、都市デザイン関係の進路を考えるようになりました。まさに人生を変える留学経験でした。