最近20年間で、「学生生活の中心は勉強」と考える大学生が増え、「人間関係」を中心に置く学生は減ったことが、全国大学生活協同組合連合会の調査で分かった。
大学生協連は毎年約2万人の大学生を対象に学生生活実態調査を行っている。今回、研究者と共に過去の調査結果を分析し、11月5日にシンポジウムを開いて発表した。それによると、大学生活の中心を「勉学第一」と答えた学生が、2 0 1 0 年は2 6 %で、1989年から10㌽増えた。「何事もほどほどに」という回答も7 ㌽増の22%。これに対し、「豊かな人間関係」は1 5 ㌽減って13%。「サークル第一」は横ばいの1 4 %だった。授業出席コマ数も増えており、「特に、1 ・2 年生、文科系、私立大で(増加が)顕著」(溝上慎一・京都大准教授)という。
とはいえ、学生の友人関係が希薄化しているわけではないようだ。2000年代以降、8割が悩みを相談できる相手を持ち、人間関係の満足度も高い。ただ、友人関係の基盤が、(クラスやサークルなどの)集団から、趣味などの関心の近い人との関係に変化しているといい、浅野智彦・東京学芸大准教授は「集団型友人関係から得られるはずのものが弱まっている可能性はある」と指摘した。
一方、収入額はかつてより大幅に減少している。仕送りや小遣い、アルバイト収入が減少しているためで、奨学金で補っている。武内清・敬愛大特任教授は「留学したい学生が減っているのも、お金の問題ではないか」という見方を示した。