明治大学 政治経済学部 学部長 大六野耕作教授

政治経済学部では、学科に関わらず相互に学ぶことができる。その広範な研究領域の提供とともに力を入れているのが、「政治経済学部留学促進プログラム」だ。この取り組みは、「平成24年度文部科学省グローバル人材育成推進事業(タイプB:特色型)」にも採択されている。

「2007年に設置した国際交流委員会で、次の時代には何がポイントになるかという議論を行いました。経済の動きをグローバルに見ると、日本は戦後が順調過ぎたために、外を向くことを忘れ、国内のマーケットだけを意識した内向き思考になってしまった。たとえば、商品開発。日本人の嗜好に合わせた製品作りしかしないので、世界で遅れをとっています」

留学推進プログラムが生まれた背景について、そう説明してくれたのは大六野耕作教授だ。

「世界というマーケットでどう生きていくかということを、真剣に考えなければなりません。そのため、国際舞台で活躍できる人材育成を目指し、留学推進プログラムを実践してきました」

この留学推進プログラムは、語学留学とは一線を画す。たとえば、カリフォルニア州立大学の最難関で学べる「UCバークレー・サマーセッションプログラム」では、世界中からくる優秀な学生たちと肩を並べて英語で正課授業を学ぶ。同世代の意識の高さに触れることは日本の学生にとって、大きな刺激となる。

「帰国した学生は意識が変わり、他の学生に対してもリーダーシップがとれます」 他にも、フランスでの「リヨン政治学院留学プログラム」や、韓国での「延世大学短期留学プログラム」、タイでの「シーナカリンウィロート大学短期留学プログラム」など英語圏に囚われないプログラムや、1年間の長期に渡る協定留学・認定留学もある。

「海外の学生は、母国語以外に2カ国語、3カ国語は当たり前です。それに現代は、世界のどこにでも即座に手を挙げて行くことができる人が求められています」

留学に至るまでの学内プログラムも充実している。「留学生サポーター制度」では、海外からの留学生をサポートするだけではなく、セミナーハウスでの合宿でディスカッションを通じて、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が鍛えられる。「トップスクール・セミナー」は、世界有数の大学から教員を招き、専門科目を担当してもらう。これによって、学生は国内留学体験ができ、留学後も、英語で高度な授業を受けられる。

 

 

 実践的英語力強化も高い効果を生んでいる。英語でのコミュニケーション能力を高める選抜式の英語学習「ACE」(英語実践力特別強化プログラム)やヨーロッパ最大の語学学校が開発した英語脳を鍛える「カランメソッド」、各種英語資格試験のサポートによるもので、同学部学生のTOEICスコアは、2008年と比べ600点以上が今は倍増し、800点をとる学生も卒業生の1割、100名に近づいている。 しかし、大六野教授は言う。

「英語ができなければいけないわけではありません。本当に必要なのは、世界のどこに行っても相手を説得できる能力と知識、そしてコミュニケーション能力です。それらの力があれば、通訳をつけてもいいんです。でも、自分で話せた方がもっといいでしょう?」

来年には、「ダブルディグリープログラム」という、明治大学と海外の大学で2年間ずつ学ぶプログラムも開始する予定だそうだ。

「もし英語が苦手でも、高校生のうちに短期でもいいから留学を経験して“自分はやれる”という手応えをもって大学に来るといいですよ。高校時代、英語ができなくて、下から数えた方が早かった私が言うんですから(笑)」